母から「あんたなんか産まなきゃよかった」と言われたことも

––––ご両親には、いつカミングアウトされたんですか?

タカフミさん 僕は友達や姉にはカミングアウトしていたんですけど、両親だけにはずっと言っていなくて。両親にカミングアウトしたのは、結婚式を挙げたいってなったときですね。

ハヤトさん 僕は結婚したとしても、親にはそのことをずっと言えないだろうなと思っていました。なぜかというと、僕は幼少期から親に「そういう人は病気だ」って言われて育ってきたんです。

たとえば、親と一緒にトランスジェンダーのドキュメンタリー番組を観ていて、親が感動して泣いていたときにも、最後には「この人たちは病気だからね」「あなたは違うよね?」と言われてしまって。それで「この親には一生カミングアウトできないな」と思い、彼にもそのことは伝えていました。

でも、彼から「僕は家族や友人に囲まれて、祝われるような結婚式がしたい」って言われたんです。誰にも彼のことを紹介していなかったし、紹介するつもりもなかったので、そのときは「どうしよう」と思いましたね。

一生自分のことを隠して生きていくのか、親に勘当されたとしても彼と一緒に生きていくか、けっこう悩みました。でもやっぱり自分の人生を生きたいなと思い、カミングアウトすることを決意しました。

ベビーカーを押して神保町を歩くハヤトさんとタカフミさん(写真/集英社オンライン編集部)
ベビーカーを押して神保町を歩くハヤトさんとタカフミさん(写真/集英社オンライン編集部)

––––カミングアウトしたときの親御さんの反応は?

タカフミさん 僕は、2017年に“里帰り”をテーマとしたテレビ番組の密着取材を受けた際にカミングアウトしたんです。その番組の中で、母に「実は男の人が好きなんだよね」っていう話をしたところ、「やっぱりそうか」って言われました。

後日、母を通して父にも伝えてもらいました。父の反応は意外とあっさりで、「応援するよ」といった感じだったそうです。

ハヤトさん その番組が放送される前に自分もカミングアウトしなきゃと思い、僕も母親に伝えに行きました。実家に帰ってカミングアウトしたら、青ざめた顔ですごくドン引きされました。最終的に「あんたなんか産まなきゃよかった。親不幸者」って言われましたね。それでも、自分の人生を生きたいから、たとえ親に勘当されたとしてもタカフミと一緒に生きようと思っていました。

でも、後日そのテレビ番組を見た母親から電話がかかってきて、番組を見て感動したのか「お母さん、あなたたちのことを応援するから、これからがんばりな」って言われたんです。父親も「お前らが幸せならいいんじゃないか」という感じでした。

結婚式にはお互いの両親が参加してくれたのですが、そのときは感動して泣いていましたね。

2018年4月に都内の式場で行った結婚式の様子(公式インスタグラムより)
2018年4月に都内の式場で行った結婚式の様子(公式インスタグラムより)
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2人は2018年に家族や友人、職場の人たちに祝福されながら、結婚式を行なった。後編では、子どもを授かるに至った経緯や同性カップルならではの苦悩について聞いてみた。

#2へ続く)

取材・文/集英社オンラインニュース班