カリスマが手がけたタイトルもユーザー離れが加速

モバイルゲーム市場の急速な縮小にゲーム会社は頭を悩ませている。

「モンスターストライク」のMIXIは、2024年3月期のデジタルエンターテインメント事業は5.3%の減収で着地した。10周年記念という大型イベントがあったにも関わらず、売上を拡大することができなかったのだ。

「パズル&ドラゴンズ」のガンホー・オンライン・エンターテイメントは、2023年12月期の韓国グラビティを除いた売上高が、前期の2割減。かつて会社の成長をけん引したパズドラは失速し、収益を支えるのはグラビティが開発する韓国で人気の「ラグナロク」となった。

グリーも冴えない。2023年7月-2024年3月のゲーム・アニメ事業は3割の減収。通期で2割程度の減収を見込んでいる。グリーは日本のモバイルゲームが置かれている状況を体現しているかのようだ。

2022年2月10日にリリースした「ヘブンバーンズレッド」は、リリースからわずか3日で100万ダウンロードを突破した大ヒット作だった。このタイトルは「CLANNAD」や「リトルバスターズ!」など、根強いファンを持つ“泣きゲー”界のカリスマ麻枝准氏が脚本を手がけた大作だ。

かつて、モバイルゲームは大ヒット後の反動は緩やかだった。しかし、現在の減衰ペースは速い。「ヘブンバーンズレッド」のリリース後、グリーのモバイルゲームの2023年6月期の売上高は、前期の1割の減収。2024年6月期は第3四半期の段階で売上高は3割縮小している。

※決算説明資料より筆者作成
決算説明資料より筆者作成

このゲームは開発に5年の歳月を要した。ユーザーはクオリティを重視しており、開発期間は長期化の傾向が進んでいる。制作陣が満を持してゲームを世に送り出し、たとえヒットさせたとしても2桁のペースで減衰してしまうのが現実なのだ。