被害者の支援者のもとに藤井被告が訪ねてきた
強制性交事件に対して県警の捜査は進まなかったことから「県警と医師会の体面を保つため立件回避を図っている」と追及するハンターのキャンペーン報道は続いた。
また、立憲民主党の塩村あやか参院議員が23年3月から国会で警察の対応を質し始めたことで問題は徐々に知られるようになっていった。
その時期にCさんを職場に訪ねてきたのが、面識のなかった藤井被告だったという。
「23年5月ですね。藤井さんから『会いたい』と言ってきて、何が目的か分からなかったのですが会いました。そうしたら、とにかく彼は謝罪をされるわけですよ、一生懸命。
『自分は警察を代表する立場でもなんでもないんだけど、被害に遭われた女性に関しては、本当にうちの警察はよろしくない対応を取って、誠に申し訳ありません』と」(Cさん)
「刑事部長というより警察そのものがよくない」
藤井被告は、問題の鹿児島中央署長から県警本部刑事部長に栄転した直後だったX氏の名を挙げ「Xの考えがあって、いろんなよくない指示が起きてるんだろうと思います」と口にしたという。
ただCさんは「そのとき藤井さんは、Xさんというよりも警察そのものがよくない、という話をしていた記憶があります」と振り返る。
この面会があった翌6月、県警は告訴から1年半ぶりにA氏を書類送検したのだが、その3日後に藤井被告はA氏の事件を含む『告訴・告発事件処理簿一覧表』を持ち出しハンターに提供している。
処理簿一覧表には鹿児島中央署長時代のX氏が主導しA氏の立件回避を図るかのような指示があったとの内容もあり、ハンターはこの疑惑の追及を4か月後の23年10月から本格化させる。
「書類送検が行われたのに藤井被告が書類をハンターに渡したのは、不審な捜査指揮を明るみに出し、地検にまともな処分を促す狙いがあったのかもしれません。
しかしハンターの報道を他のメディアは後追いせず、鹿児島地検はその年の12月、A氏を嫌疑不十分で不起訴処分にしました。Bさんは不起訴は不当だとして検察審査会に審査を申し立て、A氏に相手に損害賠償請求訴訟を起こし独自に責任追及をしてきました」(社会部記者)
藤井被告は複数のルートで資料を出したとみられる。県警は今年3月になって個人情報の流出を発表。ハンター以外のウェブメディアが、漏洩した多数の資料の写真を掲載したのに押されて捜査を50人態勢に強化し、藤井被告の逮捕とハンターへの捜索に至る。