食品衛生法の改正で個人生産者が廃業

千葉県南房総市にある道の駅「三芳村」農産物直売所、土のめぐみ館でも人気の漬物・梅干しが6月から姿を消していた。無添加で、野菜のかたちがそのまま残っている、手作り感満載がウリだった個人生産者の漬物たちだ。

直売所の店長・伊勢田誠さんによると、この直売所では22〜23組の生産者がいたのだが、今回の食品衛生法の改正後も生産を続けることになったのは、わずか5、6組ほど。30年以上この直売所で漬物を売り続けてきた人たちですら、これを機に辞めてしまったという。

漬物売り場を案内する店長・伊勢田さん
漬物売り場を案内する店長・伊勢田さん
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今回の改正に生産者たちは、一体どんな思いを抱いているのだろうか。

「年齢もあるのでしょうか、生産者の方々は、『国のやることだからしょうがない……』といった感じで、それほど強く訴えてくるような人はいませんでした。もっとたくさんの方が強く訴えたら、市とかに訴え出るほどになったかもしれませんね。
ただ、今回の改正を受けても、なぜか“ゆかりと梅酢”は営業届を出せば、そのまま販売することができるため、『なんで梅干しはダメで、梅干しを作る過程で生まれる副産物のほうはいいんだ』と首をかしげている方は何人かいらっしゃいました」(伊勢田さん)

この、土のめぐみ館では、何人もの生産者が梅干しを販売していたため、それぞれにファンもついていた。生産者のみならず、毎年、梅干しを楽しみにしていた客からも惜しむ声があがっている。

6月からは、今まで個人生産者の漬物を販売していたコーナーで、そのスペースを埋めるべく、地域の漬物卸会社から仕入れることになった。「冷蔵スペースを開けておくのはもったないので、なんとか今までと同じだけの量を置けるように考えています」と伊勢田さんは話す。

今回の食品衛生法の改正について、数々の個人生産者と関わっている伊勢田さんに率直な思いをあらためて聞いた。