若い女性たちが陥る「痩せる」ことへの執着がもたらす肉体的・精神的影響
「ウォニョンイズム」についての記事を執筆し、海外カルチャーにも詳しい作家の竹田ダニエル氏にまずこのトレンドが流行した経緯について解説してもらった。
「ウォニョンは世界的に人気で、英語や韓国語や日本語などさまざまな言語を駆使し、自分の意見をしっかり述べるなど、外見だけでない部分にあこがれを抱く女の子たちが多いです。
そんな“推し”に近づくため、ダイエットや美容、勉強といったものへのモチベーションをあげようと、ウォニョンを崇拝する女の子たちが自発的にハッシュタグをつけたことで、ウォニョンイズムが流行しました」
こうした“推し”に近づくためのムーブメントはこれまでにもあったが、ウォニョンイズムが問題視されているワケとは何なのか。
「ウォニョンイズムに関するSNS上の投稿では、早起きをして白湯を飲みウォーキングをするといった、これまでのウェルネストレンドに沿ったものもあれば、学校の勉強がはかどる方法を伝授するものもあります。
しかし、過激なものになると『〇か月で〇キロ痩せるウォニョンのダイエット法』といったものや、『低カロリーでもお腹いっぱいになるウォニョン的食事』といった、ウォニョンの画像や名前を借りて極端な体型やダイエットに関する情報を発信する投稿もあります。
こうした過激なダイエットに関する投稿が、成長期にある若い女性たちを栄養失調や摂食障害にさせる危険性があると指摘されているんです」
竹田氏によると、そもそもウォニョンイズムがほかのヘルストレンドと一緒くたにされて間違った解釈をされていることが問題だという。
「欧米では『edtwt (eating disorder Twitterの略)』というXにおける摂食障害のコミュニティも存在していて、そこでは自分が食べたもの(いかに少ない食事をしているか)を投稿したり、フォロワーに何キロ痩せたかを報告し合ったりしています。
ウォニョンイズムとは本来『健康的に痩せてきれいになること』を前提としたトレンドですが、edtwtのようなコミュニティの一部として受け取ってしまう若い女性たちもいるようです。こうした間違った解釈によって、『とにかく痩せること』に執着し、自らを追い詰めてしまっていることが問題なのではないかと思います」
またウォニョンイズムには身体的影響だけでなく、精神的な影響もあるという。
「ウォニョンのように若くてきれいで賢い子が世間で注目され活躍している様を見れば、同世代の多感な時期の女の子たちは、おのずとそれが“よいこと”だと感じ、そうした“理想の姿”に対して劣等感をおぼえかねません 。
ウォニョンイズムにはまってしまっている女の子たちは向上心が高い反面、特にこうした劣等感を感じやすい精神状態に陥っているともいわれています」