和久井容疑者の事情が軽視される5つの背景
「1つ目は、中年男性に対する差別感情。中年男性は、気持ち悪いから被害者として同情できない、といった偏見のようなものがあるから、悪質ホスト問題と同じように救済すべき問題として取り扱われにくい。オジサンが若い女性と関わることは加害的だとみなされ、大金を取られても仕方ないとみなされやすいのです。
2つ目は、弱者男性に対する理解の不足。配偶者と離別しており、中年で非正規雇用であった和久井容疑者は弱者性の高い男性だといえます。そういった男性の孤独感や恋愛市場におけるつながりにくさが理解されていません。このような人が趣味も財産も失い、女性側からの対価がないどころか、ストーカー扱いされることの重大さへの理解がないのです」(すももさん)
3つ目は「年の差恋愛に対する嫌悪感」、4つ目は「男性が女性に金銭を支払うのが当たり前の文化」だという。中年男性が若い女性を恋愛対象にすることに対して嫌悪感がある人が多いこと、女性が男性のお金を搾取することがあってもその加害性の認識が薄いことなども、今回の事件で容疑者が軽んじられる理由だという。
「5つ目は、恋愛市場での女性の強者性からの価値の低い男性への軽侮、です。恋愛市場での女性の強者性が高まったことにより、若い女性は男性に対する不誠実な行動を増加させています。具体的には、男性を人間として見ずにコスパで見る、メリットを提供してくれないとわかると切る、男性が面倒なことを言いだしたら切る、など、薄情な関わり方をするようになることです。
新宿タワマン刺殺事件でも、男性が女性に大金を渡したすぐ後に『冷たくなった』『別れ話になった』とされている。事件に対する意見でも価値の低い中年男性が価値の高い若い女性に関われるのは、お金があるから(大金の贈与は相応の対価)だとして、この手の事件の搾取性を軽視するものが散見されています」(すももさん)