ドラゴンが消えた? おしゃれ裁縫セットへの進化

2021年度に社内でデザインプロジェクトを立ち上げて、ラインナップを刷新。以前はキャラクターをメインに取り入れたデザインを展開していたが、「ずっと手元におきたくなる」をコンセプトにデザインを見直し、大人になっても持ち続けたいと思えるデザインにシフトしたという。

「家庭科の授業で使うものなので、使いやすく機能性が高いことは大前提ですが、お気に入りの裁縫バッグやセットと一緒に、ワクワクした気持ちで学習に楽しく取り組んでもらえたらなとデザインにも力を入れています。今どきの小学生はオシャレに敏感なので、流行を取り入れつつも、シンプルで飽きのこないデザインを目指しています。

例えば、弊社のラインナップには『トイ・ストーリー』のキャラクターがデザインされた裁縫バッグがありますが、タグやプレートにワンポイントで使用し、キャラクターを控えめに取り入れた洗練デザインで、愛用している社員も多いです。自分のお気に入りの裁縫セットを見つけて、大人になっても使い続けてもらえたらうれしいです」(水谷さん)

裁縫バッグ/トイ・ストーリー(株式会社光文書院提供)
裁縫バッグ/トイ・ストーリー(株式会社光文書院提供)

実際に購入者からも「シンプルで使いやすい」「大人になっても使えそう」と評判で、特に今年度にリリースした「フェアリーラテ」は、人気のラテカラー×チェック柄の大人可愛いデザインが大好評だそうだ。 

裁縫バッグ/フェアリーラテ(株式会社光文書院提供)
裁縫バッグ/フェアリーラテ(株式会社光文書院提供)

もちろん、デザイン面だけでなく、使いやすさ、機能性においても進化している。こちらのバッグは、フタを底裏に回せて、道具を入れたまま机に置いて使える省スペース設計。家庭科の授業中、クラスに1人は裁縫バッグを床に落として大惨事になっていたが、こちらのバッグではもう、そんな事件は起こらないかもしれない…。 

裁縫バッグ、実際の利用シーン(株式会社光文書院提供)
裁縫バッグ、実際の利用シーン(株式会社光文書院提供)

ちなみに、光文書院でもかつて「スプラッシュドラゴン」という、かっこいいドラゴンがパッケージされた裁縫バッグを販売していたが、2014年度を最後に生産終了。「シンプルなデザインに移行していく過程で、惜しくも廃盤となってしまいました」とのことだ。令和の子どもたちはもう、あのドラゴンに心躍らないのだろうか…。

廃刊になってしまったスプラッシュドラゴン(株式会社光文書院提供)
廃刊になってしまったスプラッシュドラゴン(株式会社光文書院提供)

こうして日々、進化を遂げている小学生の用具だが、なんと上履きまで進化しているのをご存知だろうか。こちらはおしゃれ面ではなく、機能面からとある進化を遂げた。
 

株式会社ムーンスターが販売している上履きのかかと部分には、なぜか三角形の突起がある。一体なんのためについているのか、SNS上では〈脱ぎやすいかしら。右足で左足の突起を踏むようにして…〉〈玄関の段差とかに引っ掛けて脱げる!〉〈かかと落としの際、足を痛めないように?〉などと激論が交わされたが、こちらは子どもたちがかかとを踏まないように設計されたという。

かかとに突起のある上履き(株式会社ムーンスター提供)
かかとに突起のある上履き(株式会社ムーンスター提供)
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株式会社ムーンスターの担当者によると、「当時、先生から『子どもたちが上履きのかかとを踏んで正しく履いてくれない』とのご相談をいただき、子どもたちがかかとを踏むという間違った履きかたをすることで転倒してケガをしたり、姿勢が悪くなってしまうのを防ぎたいという思いで製作いたしました」とのこと。このでっぱりでケガをしたり、靴下に穴が空かないよう、形や堅さも工夫されているようだ。

子どもの頃からこんなに洗練されたデザインの中で育ったら、今の子どもたちはいったいどんな大人になっていくのだろうか。

取材・文/集英社オンライン編集部