創作の源は「取るに足らないような小説」
──このアルバムのような「宇宙的なコンセプト」をつくり出したいと思っているアーティストは日本にもたくさんいると思います。なにか、オススメの発想法はあるんでしょうか。
SF小説を読むことをオススメします。
──どんな作家のものですか? レイ・ブラッドベリとか?
そうですね。アーサー・C・クラークとか。有名な作家のものは面白いですよね。でも、僕がより発想を得られるのは「パルプ・フィクション」からなんです。
──タランティーノの映画のタイトルになった「パルプ・フィクション」。つまり、読み捨てられる雑誌に載っているような娯楽小説ということでしょうか?
そう。いかにも取るに足らないような小説のことです。1950~60年代に書かれたような文章は、今では、科学の進歩や社会の変化で、全然描写の持つ意味が違ってきています。つまり、時代遅れになっているわけです。でも、だから逆に面白いんですよ。
パルプ・フィクションの作家は、科学の知識もろくになかったりするので、僕らにとってはむしろ身近な存在に感じられます。宇宙について考えるというのは、今の環境にないものを想像を働かせて発想するわけですが、科学が進化途上の時代の「身近な発想」の小説を読むことが、未来を生きる我々にとっての「発想のトレーニング」になるんです。
──面白いですね! 本作では、コラボレーションしたヤプーズのヤマジカズヒデによるリズムギターが新鮮で、戸川さんの「闇の宇宙」的な詞とボーカルとともに、とても「地に足のついた宇宙観」を感じさせます。そんな成果は、大上段な宇宙論とかではなく、そうした身近な発想から生まれているんですね。現在はマイアミにお住まいだそうですが、音楽環境はいかがでしょうか?
さまざまな民族が入り混じっていて、サンバ、レゲエ、キューバ、ハイチなどのカリビアンラテン音楽など、豊富なルツボになっている。デトロイトが豊かな音楽の歴史を持っていて、多様性を有しているのと似ている気がします。
──マイアミは、天才ベーシスト、ジャコ・パストリアスも活動を開始した歴史的な音楽都市ですね。クラブとかも健在なんでしょうか?
僕はスタジオで作業をしているんで、あまり外出しないからクラブ事情とかはそれほど知らないのですが、ラジオからは、いろいろな音楽が縦横無尽に流れてきて、いつも聴いています。それだけで十分楽しめますよ!
──行ってみたくなりました! 最後に、マイアミのオススメのアーティストはいますか?
FOXYかな?(訳注:フロリダ州マイアミで結成されたディスコバンド)
──ワオ! マイアミに住んでいると聞いて、すぐに思い出した大好きなT・Kレコードのアーティストです!
取材・文/サエキけんぞう
全13曲収録 ※CDのみボーナストラックを1曲収録
リリース日:2024年4月24日
価格:¥2,700(税込)
品番:UMA-1147
https://lnk.to/JeffMills_TheTripEnterTheBlackHole_CD
< アナログレコード >
全8曲収録
LP2枚組、帯・ライナー付き、内側から外側へ再生する特別仕様、数量限定
リリース日:2024年5月下旬
価格:¥7,700(税込)
品番:PINC-1234-1235
https://lnk.to/JeffMills_TheTripEnterTheBlackHole_LP
<配信>
全12曲収録
リリース日:2024年3月20日 0時(JST)
ダウンロード価格:通常¥1,833(税込):ハイレゾ:¥2,750(税込)
配信、ダウンロードはこちらから
https://lnk.to/JeffMills_TheTripEnterTheBlackHole