GEOの買取終了は、CD衰退の象徴的な出来事だった
1970~80年代に日本で流行ったシティポップのリバイバルブームにより、アナログレコードの人気が高まりつつある現在。リユースショップでは、国籍問わず多くの人が中古レコードコーナーを漁る光景をよく目にするが、一方で閑古鳥が鳴いているのは中古CDコーナー。
事実、CD市場は不調である。1998年に4億枚以上の生産数を誇ってピークを迎えたCDは、2022年には1億枚程度に減少。今やアナログレコードに生産量を抜かれており、衰退の一途をたどっている。
CD生産数の減少に伴って、中古CD市場も縮小傾向にあるとデラさんは語る。
「2000年代までは、まだまだ中古CD市場も盛んで、今よりも品揃えが豊富でした。しかし、現在は一部のプレミア化している作品を除き、中古CD全体の価格は低めを推移。2022年9月、大手レンタルビデオ店『GEO』で買取が終了したのは、CD衰退の象徴的な出来事でしたね」
衰退する市場で、急激に価値が高まり始めたものが…
低価格のCDの行き着く先が、リユースショップにある“100円CDコーナー”。ここにはメジャー歌手からマイナーアイドルまでアーティストを問わず、幅広いジャンルの中古CDが100円(+税)という安さで大量に陳列している。
名盤かそうでないかを問わず、玉石混交の状態。そんな100円CDコーナーには、思わぬ価格がつくものも紛れているという。
「たとえば子ども向けのダンス教材のプロデュースを手がけた児童舞踊のパイオニア・城野賢一&清子のCDなどは、100円コーナーで見かけたものが1万円超で取り引きされているものも。これはぼくがXで猛プッシュしていた作品群なので、実質的には自分の責任という可能性も捨てきれないのですが(笑)、このほかにも何かの拍子で価格が上がってしまったCDはたくさんあります。
以前なら100円で買えた中古CDがどんどん値上がりしているように、今後価値が高まる可能性のあるCDが100円CDコーナーにはまだまだ眠っているんです」
なかでも現在、その価値が急激に高まり始めたものがあるらしい。
「それが8センチCDです。これは80年代末期から90年代後期にかけて、10年ほどしかもたなかったメディアでして、アルバムサイズのCDに比べて流通量が少ない。縦に長い形状なのですが、ジャケットの材質が基本的には紙なので汚れやすく、ケースの下半分が元々折れる設計になっていて壊れやすいといった事情もあり、ボロボロな状態で見つかることも多い。
なので、状態が良好なものって、実はかなり貴重なんです! まだ100円で買えるものも多いですが、ジワジワと200~300円台のものも増えてきました」
音楽サブスクリプション全盛の現代では、見たこともない人もいるだろう8センチCDだが、自宅の物置にひっそりと保管したままの人も多いのではないか。リユースショップに持っていくと、実は高値がつく……という可能性も0ではないはずだ。