児相に刃物所持情報、伝わらず

母親が「厳しい」と口にした父親はこの前日の5日に、児童相談所に「子どもが非行傾向で対応に困っている。相談したい」と助けを求めていた。「これまで日常的に(Aの生活が)うまくいっていなかった上に、中身は話せませんが、直近に突発的なことが起きた状況だったようです」と児相幹部は話す。

相模原市児童相談所(写真/集英社オンライン)
相模原市児童相談所(写真/集英社オンライン)

この電話で父親と児相は8日に面談をする約束を交わし、予定通りAは両親とともに児相を訪れている。

「父親からの相談に基づく『育成相談』という手続きで、まず担当者が親子3人と面談しました。Aは望んで来たのではないという表情でしたが、両親が席を外した後、担当者と一対一になると率直に思いを話していました。『父に期待することはない』と言い、母親に対しては感謝を口にしていました」(児相幹部)

だが、この面談の際、万引きや刃物所持の事実は警察から児相に伝えられていなかった。また、虐待やDVなど「危険なエピソード」が親子の双方から出なかったことを理由に、児相はAへの関与を「緊急対応」に切り替える判断を見送っている。児童福祉士などを加えた援助方針会議を15日に開き今後の方針を検討する、と告げると両親は受け入れたという。

その2日後の10日午後、父とAが一緒に帰宅する姿が自宅近くの防犯カメラにとらえられ、13日夜になって殺害された両親が見つかっている。