Aは面談で「4、5年前にお父さんにたたかれた」
児相幹部は「面談の段階では事件の兆候などうかがい知れることは何もなく、予想だにしなかった。(面談の後に)この家族に何があったのか...」と話す。
実は、Aと父親の不安定な関係が問題になったのは今回が初めてではない。地元で「秀才」と評判が立つほど成績がよかったAが中学三年生だった2022年8月、父親は「素行不良なところがある」と警察の相談窓口にAを連れて行ったことがある。
「ところがここでAが『4、5年前にお父さんにたたかれた』と言い始め、警察から書面でこの通告を受けた児相は身体的な虐待があった世帯と認知した」(児相関係者)
Aの当時の証言が事実なら、小学校時代に体罰を受けた記憶から、父との葛藤を抱えてきたことがうかがえる。
「ただ、Aは父親から継続的な虐待があったとは言わず、児相もAの体を調べて虐待による傷跡がないことも確認しました。その後、2023年3月に母親から『父親がAに謝罪して和解がなされ、父親とAが会話をしたり一緒に外食したりするなど状況は安定している』との報告を受け、中学校からも同様の確認をとったので対応は終了しています」(同関係者)
それから1年足らず。家族は再び行政に助けを求めたが、具体的な支援が検討される前に事件は起きた。兆しはあったのになぜ防げなかったのか。
#1〈相模原・夫婦殺害〉「成績はトップ」「超難関国立校にも合格か」物静かなマッシュルームカットの少年A(15)が爆発させた“父への憎悪”と小学校時代の不可思議な“トラブル”
※「集英社オンライン」では、今回の事件について取材をしており、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。
メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com
Twitter
@shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班