1980年代からスウェットはヤンキーの嗜み? 今は“ゆるさ”に加え“ゴージャスさ”

気になるのが、ヤンキーの間でスウェットが流行りだしたのはいつごろなのかだ。

不良文化全盛期にあたる1980年代のヤンキーファッションとして、刺繍の入った特攻服、いかつい革ジャンといった服装のイメージを持っている人も少なくないだろう。

しかし、佐藤氏によると“スウェットを着るヤンキー”の定型が現れた時期は、それと同じ時期だという。ヒントになるのは“暴走族”だ。

「1980年代に全盛期を迎えた暴走族には、主に改造バイクに乗る『二輪派』とシャコタン車に乗る『四輪派』に分かれていました。二輪派は革ジャンや特攻服など攻撃性の高そうな服装で固めていた一方で、四輪派は女物のサンダルを履いて、全身スウェットやジャージを着るようなカジュアルな服装をする人が多かった。

80年代には四輪派の間で、子供服でおなじみの『ミキハウス』のスウェットが流行した時期もあったんですよ。現在のスウェットを着るヤンキーのルーツはその四輪派にあるのではないかと考えられます」

ヤンキーがいつもスウェットを着る理由が「余裕アピール」なのは本当なのか? ゆるさ×ゴージャスな着こなしに潜むプライドと美学とは_3
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かつては子供服で有名だったミキハウスのスウェットが、いかつい見た目のヤンキーの間で流行していたというのはアンバランスで何とも不思議な組み合わせだ。ちなみに現在ではどういったブランドや着こなしがヤンキーに好まれているのだろう。

「最近ではストリートブランドやハイブランドのリラックスウェアを好んで着ているヤンキーが多い気がします。ストリートとハイブランドという“ゆるさ”と“ゴージャスさ”の融合のような着こなしが、令和のヤンキーの間では流行っていますね」

――ヤンキーがスウェットを着ているという説の裏側には、彼らなりのプライドと美学が潜んでいるのであった!

取材・文/瑠璃光丸凪/A4studio