貫いた神田さんの美学
27日の放送回では、神田さんは「体のメンテナンスの内容」や、一部報道にある「内臓周辺の手術」の真偽については一切触れなかった。これについても黒沢は言う。
「そんなの、言う必要ないよ。正輝は二枚目スターなんだから。テニスやゴルフ以外にもスキーもプロ級の腕前で、最高にカッコいい。プライベートなことの公表は俳優のタイプによって言う言わないは、分かれて当然です。これがね、個性派俳優なら言ったほうがいいだろうけどね。僕は正輝には美学を貫いてほしかった。でも長年お世話になったテレビ局に自分を捨てても恩返しの義理を果たしたかった…というのが正輝の美学なのかもしれない」
黒沢さんの言う“スキーもプロ級の腕前”という言葉を裏付ける誌面が雑誌「週刊明星」(1980年4月6日号)にあった。タイトルは「芝居ってスポーツみたいにうまく行かないんだよな」で、苗場のゲレンデでスキー板を巧みにあやつり、弾ける笑顔で映る29歳当時の神田の姿がある。
当時のインタビューではこう語っていた。
「学生時代は1年のうち3分の2ぐらいは山暮らしだったほどのスキー狂。この苗場のゲレンデも自分の庭みたいなもの。自分の生き方を振り返ってみて危険をサッとかわしたりスピードを殺したりするスキーのコツがとても役立ってると思う。芝居もスキーのようにうまくやれればと思うよ」
またテニスで身構えスマッシュを決める大腿直筋のたくましさも同誌では披露しているが、「体動かしてる時にはいい汗かくのに…」と、芝居の難しさ、思い通りにいかない歯がゆさについても吐露していた。
番組の締めの挨拶では「さあ、また来週です。すてきな週末を! 旅に行きましょう」と呼びかけ、両手を大きくあげて手を振った神田さん。きっと来週の『旅サラダ』にも元気に出演し、旅の素晴らしさを伝えてくれることだろう。
取材・文/河合桃子
集英社オンライン編集部ニュース班