代償が当たり前に「性行為」だなんて、いくらなんでもありえない

松本人志が週刊文春を名誉毀損で提訴したが、週刊文春はついに元タレントの実名顔出しによる告発を掲載した。吉本興業は当初の「当該事実は一切ない」から一気にトーンダウンして、「真摯に対応すべき問題」「会社のコメントが世間の誤解、混乱を招いた」と声明を出した。ファンや共演者含む関係者は「密室のことで、まだ真実が明らかでないから何もいうべきではない」といったぬるい意見を述べていたが、吉本興業の声明には「当社所属タレントらが関わったとされる会合」とあり、もはや密室での飲み会は「揺るぎない事実」なのだろう。

この件についてはあらゆる意見や見方が発信された。いろいろな見方があるのは当然だが、納得できないのは、「のこのこついていった女が悪い」「ホテルにいって何もないわけがない」というやつ。いかにも頭の中が古そうな男性のみならず、女性でもこういうことをいう人がいるのだから、あきれてしまう。

痴漢にあうのはミニスカートをはいているからだ、ミニスカートをはいた女性が悪い、的な発想である。当たり前だが、悪いのはミニスカートではなく痴漢である。ある女性プロレスラーは「お前がそういうものを出しているんだよ。出してるからそいつが悪いんだよ」といったそうだ。なぜ女性側が責められなければならないのだろうか。
 

文藝春秋を提訴したダウンタウン・松本人志(写真/共同通信)
文藝春秋を提訴したダウンタウン・松本人志(写真/共同通信)
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告発者はさらに増えそうで、それを一まとめにして語るわけにはいかないが、彼女たちの中には「芸能人と飲み会」といわれて、ミーハーな好奇心を抱いた人もいるだろう。もしくは自分が浮上するきっかけにと野心を抱いたかもしれない。それが異常だとは思えないし、責められることでもない。

軽はずみではないとはいわないが、若い女性が「ちょっとおいしい思いができるかも」なんて考えるのは普通のことだ。「高価な食事」「普段は入れないスイートルーム」、そして「テレビで見る人との時間の共有」にふわふわした気持ちになったかもしれない。もしくは「有力な人脈」に期待をしたかもしれない。男性だって、フリーランスだとしても組織の一員だとしても、有力者の出入りする宴会や会食でそこに食い込もうとしたことがある人はいるはず。松本人志の飲み会に参加した女性にだってそうした野心を抱く権利はある。その代償が当たり前に「性行為」だなんて、いくらなんでもありえない。