父親になって実感した、父の日の喜び

息子の誕生日に『SLAM DUNK』と『DRAGON BALL』を全巻プレゼント。スペクタクルリーディング『バイオーム』で1人2役を演じる中村勘九郎――表現者と父親、2つの顔_c

――舞台が上演される6月には父の日があります。勘九郎さんの父の日の思い出はありますか?

子供の頃から父に手紙を書いたりプレゼントをしたりしていました。僕は白い花が好きなので、かすみ草の花束をプレゼントしたこともあります。あとはネクタイだったり、弟と奮発してゴルフクラブを贈った思い出もありますね。

――勘九郎さんがお子さまたちに祝ってもらうことは?

父の日って、母の日に比べておろそかにされがちなイメージがあるじゃないですか。でもうちはありがたいことに、今のところ祝ってもらえています。自分が父親になってみると、父の日をお祝いしてもらえるってすごくうれしいんですよね。それを実感しているところです。

――どんなプレゼントを?

息子たちは最近料理に目覚めまして。父の日だったり誕生日だったりイベントがある時には必ずなにか作ってくれます。コロッケを作るのがとてもうまくて、最近も作ってくれました。中身をなめらかにしたいようで、長男が必死に茹でたじゃがいもを漉していました。「そんなにやったらトロトロになりすぎるんじゃない?」とも思ったのですが、そこに次男が好きなバジルを混ぜたら、それが本当に美味しかったんです。

ただ、2人ともやりたがりな性格で。この間は長男のほうが先にキッチンに立っていたら、次男がすねてずーっとぶつぶつ言ってました。「せっかくエプロンもして手も洗って準備したのに、僕はできないんだ……」って。「いいよ、やりなさいよ」と言ってもすねていて、ちょっと大変でしたけどね(笑)。

息子の誕生日に『SLAM DUNK』と『DRAGON BALL』を全巻プレゼント。スペクタクルリーディング『バイオーム』で1人2役を演じる中村勘九郎――表現者と父親、2つの顔_d

――逆にお子さまたちの誕生日などに、勘九郎さんはどんなプレゼントをするんですか?

僕は「週刊少年ジャンプ」で育ってきたので、彼らにも英才教育としてジャンプを読ませているんです。子供の頃は『DRAGON BALL』が大好きでしたし、学生時代は『SLAM DUNK』、『幽☆遊☆白書』、『みどりのマキバオー』なんかを読んでいました。そして桂正和先生が描く漫画のちょっと大人なシーンはこっそり読むという(笑)。そういった部分も漫画から教えてもらいました。子供が成長する上で大切なことは全部ジャンプに詰まっていると思います。長男の9歳の誕生日には『SLAM DUNK』を全巻プレゼントしましたし、今年の5月の次男の9歳の誕生日には『DRAGON BALL』をプレゼントしました。

――では今後、父の日に期待することは?

ジャンプについて息子たちともっと喋れるようになれたらいいですね。子供の頃の純粋な気持ちは薄れてしまったかもしれないけれど、大人になってもずっと変わらないことはジャンプへの愛。今でも弟と回し読みしていますし、ジャンプの発売日の月曜日が楽しみで仕方がない。合併号が嫌い、ということも変わらないです(笑)。息子たちは最近、『僕とロボコ』にハマっていてギャグ漫画に目覚めたようなんです。いつかは僕が知らない新しい作品をプレゼントしてくれたら、最高です。

中村勘九郎
1981年10月31日生まれ、東京都出身。十八代目中村勘三郎の長男。1986年1月に歌舞伎座にて初お目見得。1987年1月歌舞伎座『門出二人桃太郎』の兄桃太郎役で二代目中村勘太郎を名乗り初舞台。2012年2月新橋演舞場『春興鏡獅子』の小姓弥生後に獅子の精などで六代目中村勘九郎を襲名。歌舞伎にとどまらず、舞台『おくりびと』、『真田十勇士』、大河ドラマ『新選組!』、『いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜』、映画『禅 ZEN』、『清須会議』、『真田十勇士』、『銀魂』などに出演。

息子の誕生日に『SLAM DUNK』と『DRAGON BALL』を全巻プレゼント。スペクタクルリーディング『バイオーム』で1人2役を演じる中村勘九郎――表現者と父親、2つの顔_e


スペクタクルリーディング『バイオーム』
その家の男の子はいつも夜の庭に抜け出し、大きなクロマツの下で待っていた。フクロウの声を聴くために……。男の子ルイ(中村勘九郎)の父(成河)に家族を顧みるいとまはなく、心のバランスを欠いた母(花總まり)は怪しげなセラピーに逃避して、息子の問題行動の奥深くにある何かには気づかない。政治家一族の家長としてルイを抑圧する祖父(野添義弘)、いわくありげな老家政婦(麻実れい)、その息子の庭師(古川雄大)。力を持つことに腐心する人間たちの様々な思惑がうずまく庭で、古いクロマツの樹下に、ルイは聴く。悩み続ける人間たちの恐ろしい声とそれを見下ろす木々や鳥の、もう一つの話し声を……。

日程:2022年6月8日(水)〜12(日)※配信あり
会場:東京建物Brillia HALL

公式サイト
https://www.umegei.com/schedule/1042/

撮影/小田原リエ 取材・文/松山梢 スタイリスト/藤長祥平


ジャケット¥67,100、シャツ¥36,300、パンツ¥41,800(以上セブン バイ セブン/サカス ピーアール☎03-6447-2762)