「『私だけでいいじゃん！』とか暴れだすもんだから逃げてきたんですよ」

取材班もラブホテル街に向かうと、いかにも「ホストと客」といった雰囲気の男女がぞくぞくとホテルに入っていく。また、ホテルの室内で合流するパターンも多いのか、ホストらしき男性が一人でホテルに入っていく姿も目立つ。

とはいえ、せっかく担当ホストとのアフターを勝ち取れたからといって、ひと晩中一緒にいられるわけでもないらしい。売れっ子ホストの場合、ひと晩に複数の女性とアフターの予約を入れることも珍しくないという。

「例えば3人とアフターのアポを入れている場合、その女性たちの『序列』もしっかりと決まっています。一番お金を使ってくれた姫とはまず、店の営業終わりに会い、さらに朝方の5時ごろから昼間まで過ごすのが一般的です。そして二番手と三番手の姫は、その間にホテルで1時間程度しか会えない、いわば『中継ぎ要員』のようなモノ。

ホストも『次の子とアポあるから』とは言わずに『ごめん、先輩に飲みに誘われたから軽く顔だけ出してくる！』などと言ってホテルをあとにしますが、そのまま戻ってくることは永遠にありません」（前述・30代女性）

この言葉どおり、夜の3時を回ると、ホテルから一人で出てきたホストらしき男性が、また近くのホテルに入っていく姿がひんぱんに確認できた。なかには女性と一緒に出てきて、「じゃあちょっと先輩と飲んでくるからー」と言って解散しようとするが、「本当に戻ってきてくれる？」と何度も聞かれている男性の姿も。

その場では「当たり前だろー」などと言って女性と別れたが、このホストらしき男性を後ろから追うと、200メートルほど離れたホテルに一人で入っていったのだった――。

時刻は朝の5時。ふたたび取材班が歌舞伎町の中心街を訪れると、そこにはカオスな光景が広がっていた。路上で酔いつぶれて嘔吐している女性や、泣き崩れる女性を必死でなぐさめているホストらしき男性の姿も。さらには、男女で肩を寄せあい「何時まで一緒にいれるの？」と話しているすぐ横を、なぜか赤色のブラジャーをつけた男性が酔っぱらったのか走り回っている。

そんなクリスマスイブの歌舞伎町を歩いていると、ホテル前でため息をつきながら座りこむホスト（20代）を見つけた。どうやら担当女性の感情の起伏が激しく逃げてきたという。

「女の子にひと晩で100万円使ってもらったからアフターでホテルに一緒にいたんですけど、そりゃこっちも仕事でやってるんで、他の女の子の相手（アフター）もしなきゃいけないじゃないですか。それが気に食わないみたいで拗ねちゃって、『私だけでいいじゃん！』とか暴れだすもんだから逃げてきたんですよ。でも、僕がけっこう頼ってる子だからあとで機嫌取らなきゃいけないんで憂鬱ですよ…」

ひと足早くアフターを切り上げたというホストの男性も、疲れた表情でこう話す。

「クリスマスは2日間でしょ。今夜もバカみたいに飲んで、女の子の相手しなきゃいけないんで、今は帰って早く寝たいですよ。そりゃクリスマス・イヴだから盛り上がったし、人によっては数十万円くらいの掛け（売掛）はありましたけど、人気ホストじゃないと自分の負担が怖くてできないっすね。今日も18時の出勤前に女の子へのプレゼント買い込んだりしないといけないんでマジで忙しいっす」

しかし朝の6時を回っても、ホストたちのクリスマスは終わる気配はない。歌舞伎町のホテルはどこも「満室」の表示で、行き先をなくしたであろう男女はホテル街で腰かけている。さらには男女2対2でアフターを楽しんでいるのか、街中で「ギャハハ！」と大声で笑いながらイチャつくグループも目立つ。