桜木花道のようなプレイヤーだった小嶋信哉が選んだのは、ライバル校のポイントガード!
深津の言葉じりを引用する陽気な畑山を、「本当にすごいガードでしたから」と称賛していたのが、能代工でこの司令塔とコンビを組んでいた小嶋信哉である。
ポジションはパワーフォワードやセンター。小嶋自身は「ひたすらリバウンドを捕って、走るみたいなプレーヤーだったんで、『スラムダンク』なら桜木花道ですかね」と俯瞰するが、好みは別のところにあった。
「個人的に魅力を感じていたのは、牧ですね」
湘北高校と同じ神奈川県の常勝チームである海南大附属のポイントガードでキャプテン。「県ナンバーワンプレーヤー」とも称される牧紳一を小嶋が推す理由はこうだ。
「能代工業では、牧や畑山みたいにバスケをよく知っていて巧くないとガードは任されないこともあって憧れがありましたし、『帝王』と呼ばれていたのもかっこいいなと」
高確率に決まるスリーポイントシューター、菊地勇樹はもちろん……。
この畑山と小嶋が牽引するチームで、田臥とともに下級生時代から主力を務めた菊地勇樹は、能代工時代のプレースタイルと『スラムダンク』のキャラクターが見事なまでに融合していたプレーヤーだった。
高確率で決まるスリーポイントシュート。だからといって、この飛び道具が唯一無二の武器ではなく、アウトサイドからドライブでゴール下まで切り込んでシュートを決めるし、守備もそつなくこなす。それは、『スラムダンク』でいえば湘北高校の三井寿そのものだった。
「3年生の高知インターハイで、観客席で応援してくれている方とかが三井の名前を出してくれていたのを覚えています」
そう教えてくれた菊地が、三井を語る。
「自分にはないストイックさとか泥臭さとか。『こういうメンタルでいたいんだよなぁ』と思いながら『スラムダンク』を読んでいましたね」