田臥勇太はやはり宮城リョータ?
相手が『スラムダンク』愛読者だとわかると、挨拶代わりとばかりに必ずこの話題となる。
誰が好きですか?
「読んだ時々で感じ方が違う」。Bリーグの宇都宮ブレックスに所属する田臥勇太は、クラブの公式YouTubeチャンネルの動画でそのように前置きしながら、〝推しキャラ〟を嬉々として語っていた。
バスケットボールの名門と呼ばれていた能代工で、1996年から98年までインターハイ、国体、ウインターカップの主要3大会を全て制する「9冠」を成し遂げたチームの象徴。その田臥が真っ先に挙げたキャラクターは、主人公の桜木花道が在籍する湘北高校でチームメイトの宮城リョータだった。
身長168センチのポイントガード。田臥自身も同じポジションで173センチと小柄など共通点が多いことから、自分と宮城を重ね合わせることが多いのだという。
90年代に一世を風靡したバスケットボール漫画の金字塔は、昨年12月公開の劇場版映画『THE FIRST SLAM DUNK』も爆発的ヒットを記録した。田臥をはじめとする能代工「9冠の時代」を生きたバスケットマンたちは、『スラムダンク』のリアルタイム世代。原作の連載がスタートしてから30年以上が経過した今も、推しキャラに目を輝かせる。
田臥の1学年上のキャプテン、畑山陽一が選んだのは210センチのセンター?
「今だと河田美紀男ですかね?」
劇場版映画で湘北の対戦相手として描かれた、山王工業の1年生センター。身長210センチの巨漢選手の名を挙げたのが、田臥たちの1学年上でキャプテンを務めた畑山陽一だ。
能代工を卒業して26年。当時より少し横幅が広くなった体形を気にするように笑いながら、「人に聞かれると冗談でそう答えてるんです」と話す。美紀男の兄で3年生センターの雅史に口癖のように言う「ゴメン兄ちゃん」を、面白おかしく披露するのだという。
そんな畑山の王道は、河田兄弟とチームメートでキャプテンの深津一成である。冷静沈着なゲームメークに視野の広いパスワークを武器とするポイントガードの深津は、能代工時代の畑山を想起させる。
「深津ほどじゃないけど、プレースタイルは近かったように思います。語尾に『ぴょん』を使ったことはありませんでしたけどね」