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暴力団と半グレ「持ちつ持たれつ」の関係

警察当局が半グレという存在を強く意識したのは2010年11月に発生した「海老蔵殴打事件」からだろう。人気歌舞伎役者、市川海老蔵(現・市川團十郎)がこの日、泥酔状態で東京・西麻布のバーに立ち寄り、アルコール度数の高いテキーラを灰皿に入れて周囲に飲ませた。

「なぜ半グレのようなガキどもの捜査をしなければならない」警視庁が甘く見ていた半グレと暴力団の「持ちつ持たれつ」の関係_1
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居合わせた客がその振る舞いを制止し、逆上した海老蔵がつかみかかったところ、暴行を受け重傷を負うことになった。顔は腫れあがりシャツには血痕が付着したままタクシーで帰宅。人気絶頂の歌舞伎役者が「死ぬかと思った」と恐怖を語った。後に逮捕されたのは暴走族関東連合OBの男だった。

一部の半グレの資金源は振り込め詐欺などの特殊詐欺が中心と見られる。暴力団が半グレの活動のスポンサーになっていることもあるという。

●関西地方に拠点を構える指定暴力団の幹部
自分のところにあいさつに来る半グレの連中もいる。当初は、何かしらのシノギをやってほかのヤクザとトラブルになったときにいわゆる「ケツ持ち」として、つまり後ろ盾になってほしいということなのかと思ったら、そうではなかった。「仕事を始めたいので出資してほしい」と言うので、都合してやった。

振り込め詐欺などのアジトとする、マンションの費用などだろうと思うが、詳しくは聞かないことにしている。後々になって、あいつらがマズいことになると、こちらの都合も悪くなるから。仕事がうまく軌道に乗ったのか、その後は定期的にカネを持ってくるようになった。