「岸田首相が安倍氏以上に安倍的な政治を行っている」
安倍氏が亡くなって1年余。本人は不在なのに、もの言えば唇寒しの風潮や社会の分断は続き、「新しい戦前」への準備が進む。今も安倍政権時代が続いているかのようだ。
日刊ゲンダイの記事(2023年7月4日発行)で元経産官僚の古賀茂明氏がこう話していた。
「安倍氏はもういない。安倍派にも実力のある議員がいるわけでもない。それなのに、得体の知れない『安倍的なもの』が、ウイルスのように人々に伝染し続けている。安倍氏亡き後、このウイルスも勢いを失うかと思ったが、実際には安倍派的な政治家ではないと思われていた岸田首相が安倍氏以上に安倍的な政治を行っている。
一部の右翼だけでなく、世論も、例えば岸田政権が原発活用に転じたことについて『電気が足りないから仕方ない』、防衛費を増やすことも『安全保障環境を考えたら仕方ない』という空気になってきた。安倍氏が死去して1年。ウイルスの増殖は気づかぬうちにむしろ勢いを増し強くなっている」
安倍的なものが日本の政治や永田町にしっかり根を張り、朝令暮改で自分のない岸田氏によって、新型コロナウイルスのように自由自在に変異しながら増殖しているのが現状だ。知らず知らずのうちに罹患してしまわぬよう、ウイルスに抗い、世間にも大声でしつこく呼びかけていく。そんな地道な仕事を変わらず続けていきたい。
小さな光は地方議会で女性議員が増えたことだ。静かに地殻変動が起きている。これが国会へと広がっていくには、まだ時間がかかるかもしれないが、その時は間違いなく政治の景色が変わる。安倍的なウイルスを死滅させる原動力にもなっていくのではないか。
文/小塚かおる













