筋肉は日米共通の鉄板ネタ
石田 これは単純に個人的な興味なのですが、日本とアメリカで笑いのツボの差のようなものはありますか。
なかやま ありますね。英語でのソロショーを今まで4回ほどやりましたが、笑いのツボは確かに違います。例えば上下関係ひとつとっても、日本とアメリカは質が違うので。相方の頭を叩く突っ込みも、日本では今のところはそんなに違和感がないですが、アメリカでは頭を叩いた瞬間に場が冷えてしまう。文化の違いを知って、共通のポイントを絶妙に突くことで笑いが起きるのかなと。
ただ、筋肉を使う笑いはありがたいことに日米共通です。健康、力強い、格好いいというイメージが共にあるので、筋肉ルーレットや、ボン・ジョヴィの曲でチーズをかけるネタは、僕を知らない人でもすごくウケてくれます。以前、アメリカの劇場を借りてやったショーのリハーサルで、ネタの披露が終わっても一向にフェードアウトしない時があったんです。事前に台本を渡しているのに、何回「ヤー!」とやってもフェードアウトしないし、ライトも消えない。日本から同行したスタッフに段取りが伝わっているか見に行ってもらったら、アメリカ人の音響さんと照明さんが笑い過ぎて台本を見てなかったんです。僕のことを知らないはずなのに、純粋に筋肉ネタでウケてくれたのは嬉しかったですね。
石田 それはすごいエピソードですね(笑)。ちなみに、なかやまさんが向こうでネタをする時は、肉体の仕上がりもアメリカ向けに意識したりするのでしょうか。ボディビルの大会の採点でも、日本ではバランスを重視するけれど、アメリカではバルク(筋肉の大きさ)を重視するとしばしば言われます。
なかやま いやそれが、ショーをした時はパーフェクトな肉体には仕上げられませんでした(笑)。日本には「細マッチョ」という言い方がありますけれど、アメリカにはそういう言い方はないですからね。
石田 たしかに、言葉が矛盾しますもんね(笑)。
なかやま 最近は筋肉に対するポジティブな見方が増えましたけど、昔はちょっと腹筋が割れてるだけで褒めそやされたり、タレントがジムに行くことを訝る風潮がありました。アメリカではジムに行くのが当然という感覚なので、マッチョに対する意識の違いはあります。アメリカはとにかくデカくして、トレーニングも楽しもうという文化がある。エンターテインメント好きな国民性もあるので、アメリカでの活動の際は、今後もそこを意識していきたいと思っています。