九州の人はあんま頼まない「バリ固ラーメン」
博多系のラーメン店は全国各地に存在しますが、地元以外の人は麺の固さについて「バリ固」を頼むのが通だと思っているように思えます。東京や大阪で九州ラーメンの店に行くと多くの人が「バリ固」を注文する。しかし、バリ固って別においしいわけではないと思うのですよ。
私は現在、佐賀県唐津市在住で、九州ラーメンの店によく行きますが、地元の人はバリ固なんてあまり頼みません。
単純に「固いよりやわい(柔らかい)方がおいしいでしょ?」や「バリ固って消化に悪くない?」と思っているから。だから「普通」を頼む人が多い。
それなのに、東京の博多ラーメンの店に来る客は「バリ固」を注文し、福岡や佐賀に来てもラーメン屋に行くと「バリ固」を注文する。
あのさ、常識的に考えて生煮えの麺っておいしいの? と私など思うのですよ。どう考えても、茹で時間が短い固い麵って消化にも悪いですし、固過ぎる。さらにはその上の「ハリガネ」「粉落とし」なんてものまである。粉落としの茹で時間は驚愕の2~10秒。さらにはそれを上回る「湯気通し」があり、これは湯気に麺を通すだけ。
生煮えの麺が美味しいはずはありません
福岡・佐賀の店主は「観光客の皆さんは『バリ固』が好きなようなので出しますが、正直『バリ固』ってそこまでおいしいとは思えません。さらに数秒だけお湯に入れる『粉落とし』なんて、ラーメンのおいしい食べ方とは思えません」なんてことも言います。
質問サイト「Quora」に「博多ラーメンの麺の硬さで『粉おとし』があり、ほとんど生だと思いますが、大丈夫なんでしょうか? 福岡の人は食べてるんですか?」という質問がありました。これに福岡出身のAkimbo氏というユーザーはこう答えました。
〈生煮えの麺が美味しいはずはありません。最近の固麺ブームについては苦々しく思っています。なぜか「固ければ固いほどよい」という「プチマッチョぶり」がおいしさとかけ離れたところで加速しているんですよね〉
こう述べたうえで、牛丼の「つゆだく」やマティーニの「ドライであればあるほどいい」と実例を出す。さらに博多ラーメンは長浜の魚河岸で働く人のために細麺を使い、すぐにラーメンを提供したものという歴史も紹介。そしてこう分析します。
〈もともと早めに提供されるものですから、ちょっと待てばよいのですが、それさえ待てない(=短気)をアピールするためにハリガネだの粉落としだののオプションがなかばジョークとして作られたのだと思います〉
これには「なるほど!」と思わせられました。なんなんですかね、この「麺は固ければ固いほどいい」という風潮。私も当然、東京時代に「バリ固」は食べたことはありますが、「こりゃ、固過ぎるわ……」と思い、以後「普通」にするようになりました。
あくまでも権威が述べた「バリ固を頼むことこそ通である!」といった言説に従っているだけでしょう。しかしながら、九州の人間からすると「バリ固」は「まぁ~、アリと言えばアリですが、まぁ、私は『普通』で行きますかね……」と途端に歯切れが悪くなる。