アドベンチャーツーリズムの拠点に

再会を求める地元の声をはじめ、新たな観光拠点として多くの期待がかかる陸前高田キャンプフィールド。予約状況も好調で、週末は盛況ぶりを見せている。

初日も多くのスノーピークファンが訪れ、ほとんどのサイトが予約で満室。受付開始前の段階から宿泊予定の人々が列を作っていた。先頭に並んでいた秋田県在住の徳田さんは「東北のフィールドだから、一番乗りは譲れないと思って、深夜2時から並んでいた」と、オープンを心待ちにしていた様子だった。

岩手県の商工労働観光部 観光・プロモーション室課長の木登恵一(きと・けいいち)氏は、陸前高田キャンプフィールドの今後の発展について期待をのぞかせる。

「このキャンプ場が核となって、地域のコミュニティが形成されていくことを期待しています。たとえば食文化や漁業体験、トレッキングなどさまざまなアクティビティがありますが、そういった“アドベンチャーツーリズム”の拠点になっていってほしいなと。そのうえで、地域経済が活性化してくれればうれしいです」

フィールドから見下ろせる広田湾ではカキの養殖など季節ごとの味覚も陸前高田の魅力のひとつ
フィールドから見下ろせる広田湾ではカキの養殖など季節ごとの味覚も陸前高田の魅力のひとつ

陸前高田市は、仙台空港や花巻空港からもアクセスがよく、韓国や台湾からのインバウンドも期待できるかもしれない。実際に陸前高田からわずかな距離にある宮城県気仙沼には現在、トレッキングやウォーキングを目的に韓国人観光客が多く訪れているそうだ。

スノーピークは韓国に直営ストアを4店舗構えるだけでなく、今年5月には韓国初となる直営キャンプフィールド「スノーピーク・エバーランド・キャンプフィールド」をオープン(キャンプ場の開業は2024年予定)するなど、その人気が高まっている。海外のアウトドア好きにその存在をアピールすることで、さらなる賑わいを創出できる可能性がある。

岩手県と陸前高田に住む人々の想いが結実した、スノーピーク陸前高田キャンプフィールド。東北を代表するキャンプ場として、今後多くの人が訪れるだろう。

津波で約7万本の松が倒れた中、荒波に耐えて立ち残った「奇跡の一本松」
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取材・文/毛内達大 
写真/集英社オンライン編集部