ほとんど制圧したといえるぐらい感染者数が少なくなっていたのに…
このように、21年11〜12月頃は、ほとんど制圧したといえるぐらい感染者数が少なくなっていたのに、22年になると、まるで崖が生えてきたかのように感染者が急増しました。これはオミクロン株が出現したからです。
この株が最初に国内で発見されたのは、21年11月30日でしたが、そこから徐々に広がり、年が明けて大爆発しました。あまりにも凄すぎるので、この株の登場以前の感染状況を見ると、まったく大したものではないように見えてしまいます。
さきほど確認した3回目接種の接種率は、22年6月には60%を超えましたが、その後現在までで最大の波となる第7波(ピークは22年8月19日の26万1004人)が来ていますので、太刀打ちできていません。むしろ増えています。
こうやって見てみますと、21年のデルタ株まではワクチンの感染予防効果が発揮できていたと言われても納得ができますが、オミクロン株については無理でしょう。感染者数がそれまでとは比較にならないくらい爆発してしまったのですから、感染予防効果は期待できません。
ワクチンを打っても感染してしまうのであれば、ワクチンを打つ人は減るでしょう。現に減っています。これは感染が大爆発している現実を見て、「打っても意味が無いのでは」と思った人が増えたのが一因ではないかと思います。
発症予防効果
発症予防効果についてはどうでしょうか。前述のとおり、デルタ株までは感染予防効果が発揮されていたと言ってよいかと思いますので、発症予防効果もあったと言ってよいでしょう。
ではオミクロン株以降についてはどうでしょうか。感染者数が急増しましたが、これは、発症した人がPCR検査を受けて感染が確認された、というケースが大半を占めるでしょう。要するに発症者が大量発生したということですから、発症予防効果もあまり期待できないのではないかと思います。
本当はもっと感染者がいて、ワクチンのおかげで発症が抑えられていた可能性もあるかもしれませんが、それを確認できるデータがありません。
(抜粋はここまでです。書籍では重症化予防効果と後遺症予防効果についても分析しています)
文/明石順平 図版作成/小林美和子 写真/shutterstock
#2『「コロナワクチン副反応疑い報告」における死亡確率は飛行機事故に遭遇する確率以下…各国において接種による有益性はリスクを上回るとしているが』はこちらから
#3『コロナ禍の行動制限には結局、何の意味があったのか…日本の実態、ノーガード戦法をとったスウェーデンのその後』はこちらから