結局2万円のマイナポイントが普及の決め手に
現在、申請中も含めると、日本国民は、9000万枚を超えるマイナンバーカードを持っています。マイナンバーカードがここまで普及した最大の理由は、間違いなく、最高で2万円ぶんのポイントがもらえる「マイナポイント」にほかなりません。
これは逆に言うと、2万円のプレゼントをつけないと、カードをつくる人が増えなかったことになります。もし、「マイナンバーカード」が本当に便利なカードだったら、2万円ぶんのポイントなどつけなくても、みんな持とうとするはずです。
ちなみに、今まで政府は、「マイナンバーカード」の普及のためにトータルで約3兆円の税金を使っています。
これは、2021年3月の衆院内閣委員会で、当時首相だった菅義偉氏が明らかにした数字ですが、過去9年間で8800億円の税金が使われていました。さらに、その後普及のためのポイントのキャンペーンにつぎ込まれた予算は累計で2兆円以上になります。
普及のために約3兆円もの税金が使われたということは、国民ひとり当たり約3万円の税金が使われたということ。2万円ぶんのポイントをもらっても、本当は、そんなに喜べる話ではないはずです。
国民に不便を強いて「マイナ保険証」を強制
こうして2万円のプレゼントつきで、ようやく国民に持たせることができたマイナンバーカードですが、使い道がなければ、意味がありません。
そこで政府が目をつけたのが、国民の誰もが加入している健康保険制度でした。
みんなが利用している健康保険証を廃止して、「マイナ保険証」を義務化することで、マイナンバーカードを事実上の「強制」に持ち込もうとしたのです。
健康保険証の廃止が発表されるまで、マイナ保険証に切り替えていた人は20%程度でした。第四章で詳しく述べるように、医療機関などでも、導入のハードルが高いこともあって、普及が進んでいなかったのです。
いわば「マイナ保険証を持っていると便利だから」ではなく、「マイナ保険証を持っていないと、医療機関にかかれなくなる」と、国民に不便を強いることでマイナ保険証を押し付けたわけです。
文/荻原博子 写真/shutterstock
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