◆バカザリガニ (チビ五歳 ヒメ二歳)
チビがショッピングセンターにあるゲームをやりに行きたいって言うことを聞かなかったので、何かいい代案はないかと思いを巡らせた。
そうだ!
「そろそろザリガニが釣れる季節だぞ。ザリガニ釣り行ってみるか!」
さっきまで不満たらたらだったチビの顔が一気に輝く。
「ザリガニ釣りならゲームより楽しい!」
にぼしをつけた糸を垂らすと、さっそく一匹食らいつく。
そーっと糸を上げてアミですくいとれば、カンタンにゲット!
「やったー! もう一匹捕まったね」
よく見てみると、右のハサミがない。
そして、体の右側が傷付いて、えらが露出している。
「あ、このザリガニはケガしてるな。こいつは持って帰るのはやめよう」
「じゃ、逃がすの?」
「そう。だって、ちゃんと元気なやつがいいでしょ」
「ふーん。わかった」
ケガをしたザリガニを川に戻した。
しばらくほかのザリガニを狙ってみるが、あまり食いつきがよくない。
「こいつら頭いいザリガニだな……」
チビとふたりで感心する。
そこで、もういちどケガしたザリガニの目の前にエサを垂らしてみる。
すると、またすぐにゲット。
「こいつまた捕まったよ。バカザリガニだな」
と言いつつ、また川に戻す。