#2

◆バカザリガニ (チビ五歳 ヒメ二歳)

チビがショッピングセンターにあるゲームをやりに行きたいって言うことを聞かなかったので、何かいい代案はないかと思いを巡らせた。

そうだ!

「そろそろザリガニが釣れる季節だぞ。ザリガニ釣り行ってみるか!」
さっきまで不満たらたらだったチビの顔が一気に輝く。
「ザリガニ釣りならゲームより楽しい!」


にぼしをつけた糸を垂らすと、さっそく一匹食らいつく。
そーっと糸を上げてアミですくいとれば、カンタンにゲット!

「やったー! もう一匹捕まったね」

よく見てみると、右のハサミがない。
そして、体の右側が傷付いて、えらが露出している。

「あ、このザリガニはケガしてるな。こいつは持って帰るのはやめよう」
「じゃ、逃がすの?」
「そう。だって、ちゃんと元気なやつがいいでしょ」
「ふーん。わかった」
ケガをしたザリガニを川に戻した。

しばらくほかのザリガニを狙ってみるが、あまり食いつきがよくない。
「こいつら頭いいザリガニだな……」
チビとふたりで感心する。

そこで、もういちどケガしたザリガニの目の前にエサを垂らしてみる。
すると、またすぐにゲット。
「こいつまた捕まったよ。バカザリガニだな」
と言いつつ、また川に戻す。

家で飼うのは元気なザリガニか、怪我をしたザリガニか。新米パパの脳天に強烈な一撃を見舞った“チビ”のひと言とは?_1
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