首脳部のかたがたと膝を突き合わせて議論する
・ 学内の諸問題を改善するため、教官や指導教官などから広く情報を求め、意見交換・情報共有の場を設ける必要がある。
・ 自衛官教官と文官教官の情報共有・意思疎通が十分ではないため、両者の協力関係を促進する必要がある(実際の提言には具体的計画を記しましたが、これから学内で討議されるため、現時点では詳細を割愛します)【2】。
・ 全学教授会には教授以上の教官のみが出席しており、若手教官の問題意識が反映されていないので、その出席を認めるべきである。
この提言書を出してほどなく、防大首脳部と複数回の会談が設定されました。このプロセスにおいて、私が事実を誤認していたことが明らかになった場合には、速やかに認識を改めるつもりです。同時に、学校側として検討・改善を要する事項を細かく説明し、改善措置を求めます。
私は、どちらか一方が完全に正しく、また一方がおしなべて誤っている、などという事態は、現実の組織運営においては有り得ないと考えますので、首脳部のかたがたと膝を突き合わせて議論する場に、誠意を尽くして臨む覚悟です。
これから連続して行われる会談において、互いに忌憚のない意見を出し合い、防大の教育研究環境を改善するための具体的な施策を検討していきます。
最後に、学生諸君に申し上げます。等松は防大首脳部と連続して会談を行いますが、現在も、将来も首脳部の一角を占めることはありません。私の研究室の扉はいつでも開いています。日本の安全保障を担う自衛隊の、文字通りの根幹となる諸君と共に、一層の研鑽に努める決意を新たにしています。
【1】防大には学校長の下に管理(事務官)、教務(教官)、自衛官(陸将)という3名の副校長がおり、この4名が執行部を構成している。
【2】自衛隊と日本社会が健全な関係を持つために、自衛官と文民・市民が教養を共有することの重要性を筆者は次の拙稿で論じた。等松春夫「なぜ自衛隊に『商業右翼』が浸透したか―軍人と文民の教養の共有」『世界』(2023年9月号)。同様に、防大の健全な運営には自衛官と文官の教養の共有が不可欠である。
文/等松春夫
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