『プレイボール2』第1話ができるまで
城倉本人は『プレイボール2』の単行本カバーの袖書きで「この作品は谷口くんの高3、3~4ヶ月を描くものです。(中略)こんな馬鹿でもいなかったら続きは読めなかったわけですから……」と語っている。
確かに。思い入れの深いファンを持つ名作の続編となると、リスクも大きいかもしれない。成功してもそれは本編のおかげと見られる。利口に損得を計算すると、実現しなかった企画かもしれない。
連載立ち上げに携わった、当時の担当編集者、増澤吉和(現ヤングジャンプ編集長)によると実際、決して簡単ではなかったという。連載第1話、一度は出来上がったネームを全面的に直すことになり、城倉と増澤は深夜まで話し合った。その結論は、
「ファン1人1人には、おそらくそれぞれの〝続き“がある」。
当たり前のようだが、どんなに迷っても"正解"はない。だが、そう心を決めて進めても、やはり不安もあった。情報解禁直後から、ファンの大きな期待が伝わってきた。その期待に応えられるのだろうか。しかし実際に掲載された『プレイボール2』第1話は、熱く支持されることになる。
読者の皆さまからたくさん電話やハガキもいただきました。もちろん激励、あるいは感謝のメッセージでした。『正解はない』という中で、またまだこれからどんな展開になるのかわからない中で、まずは『続きが読めるだけで幸せ』という読者がこんなにいるんだということを感じて勇気が湧きましたし、嬉しかったです(増澤編集長)
その注目度は大きく、掲載誌『グランドジャンプ』の売上までアップしたという。