一時保護で深まる大人への不信感

これまでは大阪の若者が深夜バスを利用してトー横や名古屋の「ドン横」(ドン・キホーテ横。現在は開発のため閉鎖)、福岡の「警固界隈」(警固公園付近)、横浜の「ビブ横」(横浜ビブレの横)など王道の“界隈”へと漂流していた。

「それがツイッター(現X)で呼びかけることで、広島の『P横』(パルコの横)、京都の川原町界隈など、さらなるローカル化が進んでいます。
大きな繁華街で大勢がたむろしていると捕まりやすいから、バラけて小さい規模で集まるようになっていると若者らが教えてくれました」(徳丸さん、以下同)

炊き出しを用意するCPAO代表の徳丸ゆき子さん
炊き出しを用意するCPAO代表の徳丸ゆき子さん

こういった若者は児童相談所の判断で一時保護されることがある。しかし、当然これで解決とはなりにくい。

「一時保護所では、スマホを使えないといった窮屈な生活を強いられるうえ、相談員の人数は足りていない。ほとんどのリソースは虐待対応に追われてしまうからです。
一時保護期間は原則2ヶ月以内という短期間なので、児童相談所がキッズにできることには限りがある。
そのため、一時保護から戻ってくると、『あれは何の意味があったのか』『大人は話を聞いてくれないし、信用できないから嫌い』『児相や警察は敵』と思うようになるキッズも少なくありません。
出口支援もなく、再び街に出ていくようになった彼らにアウトリーチ(保護対象者のもとへ出向いて支援する)しても、支援に乗ってもらうことが難しいんです」

CPAOの活動当初からアウトリーチ活動をしてきた徳丸さんは、そうした子どもたちへの教育の重要性から次のように考えるようになった。

「保護者の中には出所後の就職への影響を考え、できるだけ少年院などの矯正施設に入ってほしくないと考える方も少なくありません。しかし、私は長年支援活動をしてきて、鑑別所や少年院の非行問題を抱える若者に対する専門性の高さを知るようになりました」