音楽活動のために俳優を辞めた過去
――プライベートのお話も聞かせてください。休日は何をして過ごすことが多いですか?
最近はライブをしていたので、それに向けて準備をしていました。音づくりをしていたら「もっとワンランク上の音を出したい」と欲が出てしまって。ギターやエフェクターなど、選びきれないくらいの種類があるんですけど、納得のいく音を探しています。
そう思うと、もう仕事か趣味かもわからないくらい、ずっとオンかもしれません。でも今はそれが楽しくて。
――そういえば阪本さんのキャリアって、本当にユニークですよね。ミュージカル『テニスの王子様』などに出演するなど、10代から順調なキャリアを築いていたのに、音楽活動に専念するために一度キッパリと俳優のお仕事を辞められました。その決断には、勇気が必要だったのでは?
いま思うと、怖いもの知らずでしたね。今だったら俳優の経験を音楽活動につなげることを考えられますが、視野が狭かったんだと思います。
――どんな活動をしていたんですか?
地元の兵庫で路上ライブから始めたのですが、最初はほぼお客さんがいなくて。機材を運ぶために家族がライブハウスまで車を出してくれたり、CDなどの物販を手伝ってくれたり、本当に協力してくれました。でも誰も聞いてくれない経験は地獄でしたし、どん底だったと思います。
音楽だけをしたいと俳優の仕事を辞めましたが、そうするとやっぱりネタが枯渇していくんですよね。俳優をしていたころは、舞台でいろんな役を演じさせてもらうことが、結果として自分の表現の引き出しになっていました。そのことに初めて気づいて、めっちゃ後悔しました。なんで辞めたんだろうって。
――そのことに気づけたことも、今となっては財産では?
2年間の自主活動を経て、また俳優として復帰できたことはありがたかったですし、当時の苦しい経験もまた、今の自分の表現につながっている気はします。どんなときもずっと家族がそばで支えてくれたので、僕が仕事でがんばっている姿は、常に家族に見てもらいたいと思っています。
――6月に30歳の誕生日を迎えられました。30代の目標は?
これまではアーティストとして武道館に立つとか、具体的な目標を掲げてきたんです。10〜20代は紆余曲折ありましたし、本当にあっという間だったと感じていて。周りの方からは、「30代はもっとあっという間だよ」と言われるんですが、本当にそうだろうなって。
だから今は遠い目標を掲げず、まずは目の前にあるお仕事ひとつひとつに真剣に向き合いたいと思っています。『舞台「鬼滅の刃」其ノ肆 遊郭潜入』を無事終えたときには、またきっと自分が成長できていると信じています。
取材・文/松山梢
撮影/石田壮一
ヘアメイク/木内真奈美(オティエ)
スタイリスト/山田安莉沙
【衣装クレジット】
Tシャツ¥14300/JOYEUX(CLOUD LOBBY)
ニット¥44000、パンツ¥35200/ともにSian PR(CULLNI)
【問い合わせ先】
JOYEUX(03-4361-4464)
Sian PR(03-6662-5525)
公演情報
舞台「鬼滅の刃」其ノ肆 遊郭潜入
<原作>『鬼滅の刃』吾峠呼世晴 (集英社ジャンプコミックス刊)
<脚本・演出>末満健一
<音楽>和田俊輔
<キャスト>
竈門炭治郎 阪本奨悟
竈門襧豆子 髙橋かれん
我妻善逸 植田圭輔
嘴平伊之助 佐藤祐吾
宇髄天元 辻 凌志朗
雛鶴 蛭薙ありさ
まきを 倉持聖菜
須磨 西葉瑞希
鯉夏花魁 梶川愛美
堕姫 佐竹莉奈
妓夫太郎 遠山裕介
産屋敷耀哉 廣瀬智紀
伊黒小芭内 宮本弘佑
鬼舞辻無惨 佐々木喜英
(※鬼舞辻の「辻」は「一点しんにょう」が正式表記)
ほか
大阪公演: 2023年11月12日(日)~19日(日)メルパルクホール大阪
東京公演: 2023年12月1日(金)~12月10日(日)TOKYO DOME CITY HALL