4分半の動画を投稿するたびに1万3000ドル稼ぐことが理論的には可能
このようなボーナスを求めるインフルエンサーにとって、アプリに4分半の動画を投稿するたびに1万3000ドル稼ぐことが理論的には可能となる。
もっと大きなニンジンが別のインフルエンサーの目の前にぶら下がっていた。
2018年12 月、多くのインフルエンサーがインフルエンサーマーケティングエージェンシーと契約すると、ティックトックにコンテンツを投稿し始めるよう求められた。その代わり、彼らは500ドルを受け取り、パフォーマンス次第で5000ドルのボーナスを稼ぐことができた。
同じような書類がインドのインフルエンサー業界あたりでもシェアされていたということは、その国の多くのクリエイターたちはティックトックに投稿しただけで報酬を得るばかりか、そのコンテンツをより広くシェアすることでも報酬が得られる契約をしていることを示している。
伝えられたところによると、クリエイターらは彼らのプラットフォームにおける人気度に応じて、月に250ドルから1750ドルを稼ぐことができる。それは、平均的な月収が425ドルあたりというような国でなら、とても気前がいい話ではある。
もしそういう仕事に就いているなら、噂では少なくとも一人のインスタグラムインフルエンサーに、その作品を売り歩くためにティックトックが払ったという額に比べると、はした金であるとはいえ、悪い仕事ではない。
ウォールストリートジャーナルによれば、バイトダンスは一本の動画を広めるために100万ドル以上の大金をしぶしぶ払ったことがあるという。
中国ではきわめてありうる戦略
「それは実際のところ中国ではきわめてありうる戦略です」とファビアン・アウエハントは言う。彼は、これぞ中国ではプラットフォームにクリエイターを引きつける一般的な方法であると熟知している。
今も世界中で運用されている2つのショート動画アプリを、バイトダンスがどのようにして育ててきたかをずっとモニターしてきたばかりか、彼のパートナーのエリンはドウイン最初のクリエイターであり、そして今もそうなのだ。
「彼女はその報酬を得た」と彼は言う。「ちょっとまとまったお金をね」。
2016年ドウインがエイミーとして発足して間もなく、バイトダンスの代表者から接触を受けた彼女は、別のプラットフォームにベースを築いていて、会社がアプローチした20~30人のクリエイターのうちの1人だった。
皮肉なことに、バイトダンスはアウエハントのパートナーを、1年後には買収することになったアプリであるミュージカリーから、ヘッドハンティングしたいと狙っていたのだった。
そのオファーは直球で届いた。「エイミーに加わり、コンテンツを投稿してほしい。そうすれば、投稿した動画1本ごとに300元が受け取れる。最大月に4000元を上限としよう」。
その額は、当時約600ドルに相当したが、ざっと言って、中国の初任給とほぼ同額だった。
「かなりの高額です」とアウエハントは言う。「彼らは基本的にその額を月に数本の動画を作るたびに受け取りましたから」。そしてその金額は人の名声に応じて違っていた。もっと受け取っていた人もいたのだ。
彼のパートナーはお金を受け取り、共同制作者にもなった。2年間、彼女は会社とともに働き、コンテンツを制作しながら、アプリの開発のしかたについてフィードバックを提供していた。それは今日まで続く慣習となっている。
私が話をした一人のアメリカ人ティックトックユーザーは2021年3月に届いたアプリへのメッセージで、ベータテスティンググループに参加するよう招待された。
そこでは、ティックトックの新しいあり方に関するアイデアを精査するアプリのテストバージョンへのアクセス権を与えられ、アイデアをフィードバックするフェイスブックグループに参加するよう求められた。もちろん、すべては非公開という誓約を交わしたうえである。