金を出せない家族に暴力をふるい、少年鑑別所へ
もちろん、お金の出どころは家族である。自分でお金を稼いだことがないナルミは、執拗に家族にお金を無心した。
「この間、30万円渡したばかりじゃないか……。いくらなんでも」
父親が困ってつぶやくと、ナルミは父親を突き飛ばしたのち、リビングにあったクッションや本を手あたり次第に投げた。また始まったのだ。このところのナルミの暴れっぷりはエスカレートしていた。
「ちょ、ちょっと」
祖母が止めようとリビングに入ってきたとき、ナルミは灰皿を投げた。ガラス製の重たい灰皿だ。
ゴン。鈍い音がしたと思うと、祖母が倒れ、見る間に多量の血が広がっていった。灰皿は祖母の頭に命中していた。すぐに救急車を呼んで一命をとりとめたが、全治3カ月の重傷である。
この事件は警察に通報され、ナルミは少年鑑別所に収容されることとなった。