還暦目前。大きな病気も経験していよいよ落ち着いた?

とにかくイケイケだった若き頃の乱れた日々を、楽しそうに語るあっちゃんも今や58歳。今年は、少し大きな病を患ってしまった。

「糖尿病です。今年の3月、いや2月だったかな。ライブで息苦しくなって、深呼吸してないと立っていられないぐらいになりました。Tシャツ1枚で外に出てハアハアやってたらメンバーが来て、『やばいから、すぐ病院に行けよ!』って言われました。でも、寝れば治ると思っちゃったんです。
藤屋もバンドも休んで、2階で何日か寝ていました。体がきつくて電話に出るのも面倒くさいから電源も切って。そうしたら、連絡が取れないからメンバーが本気で心配したんです。死んでるんじゃないかって、八王子の同級生に連絡してくれて。その友達が家の裏から『おーい、あっちゃーん! 大丈夫かー!! 生きてるかー!?』って、また大きな声で(笑)。そのまま病院に連れていかれて検査したら、とんでもない数値が出ちゃったんです。それから1ヶ月半くらい禁酒して、なんとか良くなりましたけどね。お酒? 今はもう始めてます(笑)。前より控えているって感じでもないですねえ。だって、パンクですから(笑)」

ファンとしては、いつまでも元気でライブをやってほしいと願いつつも、いくつになっても無邪気でヤンチャでパンクな、こんなあっちゃんもやっぱり魅力的。
なかなか難しいところだ。

日本一悲壮感のないパンクバンド・ニューロティカ物語。還暦寸前の成人病持ちだけど、あっちゃんは今夜もモテモテ!?_3
「ニューロティカは生活そのもの」。その証も刻まれている。(撮影/木村琢也)
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あっちゃんは今、長年続けているニューロティカというバンドを、どういうものと考えているのだろうか。

「生活ですよね。“人生”っていうと重すぎるし、かっこつけてる感じがするけど、毎日ニューロティカに接して、ニューロティカを発信しているわけですから、もう生活そのものです。
 結成当初からしばらくは違いましたけどね。その頃のニューロティカを一言で表すなら、 “打ち上げ”です(笑)。まあある意味、今もそうなのかな。バンドの周年記念イベントとか、去年の武道館のようなデカいライブには、学校の同級生や後輩がみんな集まって、同窓会のようにしてくれたりするので、そういうのもいいですしね。相変わらず、そんな感じなんですよ」

では今はもう、女の子にモテるとかモテないとかは関係ないんじゃないですか? と聞くと、これまた明快な答えが返ってきた。

「いや全然。今も、モテますから(笑)。特に武道館をやってからは、またびっくりするくらいモテてます。やっぱり夢がありますね、武道館って。独りもんなので、“文春砲”もまったく怖くないですし(笑)。
来年は還暦ですが、僕はまだ結婚できません。どうもね、こればっかりは。モテるんで、まだまだ。僕が結婚なんかしたら、ニューロティカの人気が落ちちゃいますから(笑)。大変なんですよ、こっちも」

いったいどこまで本気なのかはわからないが、おとなしくて真面目な今の若いバンドマンに聞かせてみたい話ばかりが飛び出してきた。
やっぱり、あっちゃんは最高に“いい男”だ。そりゃあ、モテるのもしかたがない。

ドキュメンタリー映画「あっちゃん」

2015年に劇場公開された、ニューロティカ結成30周年記念ドキュメンタリー映画『あっちゃん』(監督:ナリオ)の英語字幕バージョン! どこにでもあるお菓子屋さんに生まれた男の、どこにもない生き方。イノウエアツシの50年、ニューロティカの30年。すべての答えはこの映画で明かされる。
蒼井そら、綾小路翔(氣志團)、宮藤官九郎、HIKAGE(THE STAR CLUB)、PON(LAUGHIN’NOSE)ら多くの出演陣の証言にも注目!

文/佐藤誠二朗

【プロフィール】
アツシ/1964年10月20日生まれ、東京都八王子市出身。
1984年1月に結成したパンクロックバンド「ニューロティカ」のヴォーカル。
85年、仲間とともに「ネオファミリーレコード」を設立。1stソノシート「Go or Stop!」をリリースし1000枚を完売。89年5月、「キャプテンレコード」より初のフルアルバム「ハーレム野郎」をリリース。インディーズながら渋谷公会堂ライブなどを成功させる。
1990年6月シングル「ア・イ・キ・タ」でメジャーデビュー。以後、何度かのメンバーチェンジをしながらバンド活動を続け、2022年1月にバンド初の日本武道館ライブを成功させる。2023年10月29日(日)には日比谷野外音楽堂でのライブも決定!
その他最新情報は下記でチェックを!
公式ツイッター:@NEW_ROTEKA
公式HP:ニューロティカ公式HP

【撮影協力】
藤屋菓子店(東京都八王子市本町3-9)

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