劇中で描かれるサメはコロナの象徴

フランスがサメ映画を作るとここまでオシャレで文芸的に!? 名作『ジョーズ』にオマージュを捧げたスタイリッシュすぎる『シャーク・ド・フランス』_6
© BAXTER FILMS - LES FILMS VELVET - FRANCE 3 CINÉMA - 2022

サメが直接的に画面に映ることこそ少ないが、話の根幹には終始しっかりサメという存在が関わっている、その作りも『ジョーズ』的だと言えるだろう。
その上で、パリに対する地方民のひがみっぷりや、“やっつけてもいい悪者”を求めてヒロインへの非難をエスカレートさせていく一般大衆への風刺、あくまでもとある田舎町で起こったことと、ある1年の出来事として、どこか淡々とした語り口で進行する本編など、本作独自のエッセンスも盛り込まれている。

監督いわく本作のサメはコロナの象徴とのことであり、それを踏まえて鑑賞すると、よりおもしろみも増すだろう。

フランスがサメ映画を作るとここまでオシャレで文芸的に!? 名作『ジョーズ』にオマージュを捧げたスタイリッシュすぎる『シャーク・ド・フランス』_7
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もちろん風刺だコロナだ云々を抜きにしても、単純に話がしっかりしており楽しめる。
作品の方向性の都合上、昨今の出オチ的な、ぶっとんだサメ映画のような外連味は少なく、強烈なフックには欠けるかもしれない。

が、かわりにといってはなんだが、中身は確かであり、小粒なりの文芸的な魅力とオシャレさ、そしてほかのサメ映画にはなかなか見られないタイプのユーモアがある。ド派手さとは無縁のドラマ映画とは言ったものの、案外テンポはよく、ニヤリとする小ネタも散りばめられているため、さして中だるみを感じないままスイスイ鑑賞できるのも好印象だ。

個人的には高く評価しており、おもしろいサメ映画であることは間違いない。


文/知的風ハット

『シャーク・ド・フランス』(2022)L'année du requin 上映時間:1時間27分/フランス

フランスがサメ映画を作るとここまでオシャレで文芸的に!? 名作『ジョーズ』にオマージュを捧げたスタイリッシュすぎる『シャーク・ド・フランス』_8


フランス南西部にあるリゾート地ラ・ポワント。ある日、この小さな美しい村で正体不明の怪物に襲われた男性が発見される。観光客で賑わうビーチは大パニックとなり、閉鎖されることに。早期退職を予定していた海上警察官の一員マジャ(マリナ・フォイス)はこれがサメの仕業であると推測。最後の任務としてサメ退治に挑む。その後、勇敢な彼女はサメの捕獲に成功し、地元の人からも祝福され引退。しかし、新たに遺体の一部が発見され、海岸地帯は再び警戒態勢に! マジャは地元の人たちから非難を浴び、立場が一転。そして彼女は再びサメ退治に向かう。


公式サイト:http://unpfilm.com/sharkfrance/
8月11日(金・祝)より新宿シネマカリテほか全国順次公開
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