ノートで「自分と対話する」

自分と向き合うため、自分の弱さを知るためのツールとして僕がずっと使っているのが、この本の最初にも書いた「ノート」だ。

2017年の社会人1年目、トヨタに加入して、いきなりキャプテンを任された時から使うようになったから、もう6、7年は続けているだろうか。

ラグビー日本代表主将が吐露する自分の「弱さ」。自身の弱さと向き合うための「姫野ノート」に書かれた3つのこと_4

当時のヘッドコーチだったジェイク・ホワイトから指名されてキャプテンになったのだが、普通に考えて新卒1年目の選手がキャプテンになって上手くいくわけはない。先輩やベテラン選手が、そうやすやすと僕を受け入れるはずがない。当初、ミーティングでも試合前のロッカールームでも、僕の言葉に誰も本気で耳を傾けてくれなかった。

「コイツ、今から何を言うんやろなぁ……」

僕を眺めてそんなふうに思っているのは、みんなの目を見ればわかった。

当然だ。チームのこともチームメイトのこともわかっていない、何の結果も出していない新人キャプテンの言葉なんて、誰も信用しない。

空回りする日々が4か月近く続いた。

良い方向にチームを引っ張ることができず、結果も伴わない。どうしたらいいのか、頼る人もいない。八方塞がりになってしまった中、

「まずは気づいたことや、チームを少しでも良くするアイデアをノートに書き出してみよう」

と、始めたのだ。別にノートでなくても良かったのだが、「書く」ことが僕にとっては一番覚えやすかった。

ところがそうやって書いていくうちに、だんだんと、チームのことよりも自分自身のことを書くようになっていったのだ。