酒の回し飲みで喉クラミジアクラスター
同じグループにいた15歳のアイカ(仮名)は性病にかかった経験がある。
「地元が神奈川なんで、もともとは“ビブ横”(横浜ビブレの横の通路)にいたんですが、今年2月にトー横に来て、春くらいにリアコ(リアルに恋してる人)に処女を奪われて性病もうつされました!
ヤった3日後に発熱と、喉まで痛くなって、特にヤバかったのはアソコの痛み。最初はちょっとかゆかっただけなのが、だんだん熱くて痛くて歩けなくなり……。
母親と病院に行ったら淋病と性器ヘルペスと診断されました」
そんな思いをしてもまだ、トー横に通うことはやめないらしい。
「そのリアコとの関係はまだ続いてますから。
でも、あいかわらずゴムなし。今も性器ヘルペスにかかっては治しての繰り返し。
リアコには貢いでるので、出会い系サイトから客を引いたり、そこ(大久保公園)に立つこともあります。もちろん客相手のときはゴムつきですよ」
なぜかトー横の少女たちは貢ぎ体質にあるようだ。高校3年生のユウコ(仮名)もこう話す。
「私は去年の9月ごろからトー横に来てますけど、いつの間にかトー横にいる数名の男の子たちの宿メン(一緒に泊まるメンバー)になってて、彼らはいつも“生外”です。
でも性病にかかったことはありませんよ。宿泊代は私が払ってます」
金銭を負担させられるうえに妊娠や性病のリスクも負わなくてはいけない。それなのに、彼女たちには自分の身を守る意識が皆無のように見える。
19歳のアイコ(仮名)の言葉から特にそれを感じた。
「厄介なのは喉クラミジアです。トー横界隈で鏡月やブラックニッカを回し飲みしてるとみんな感染しちゃうんですよ。マジで“喉クラミジアクラスター”(笑)。
性病はまあ、かかったら治せばいーし。あんま深く考えてないです」
7月21日に行われた記者会見で小池百合子都知事は「トー横に集まってくる若い人たちをどう守るか。速やかに具体的な対策を講じていきたい。これまでにない対応も考えていかなければならないのではないか」と述べた。
彼らがトー横を離れ、家路につく日はいつかくるのだろうか。
中編では、トー横キッズの名古屋版“ドン横”に集まっていた若者たちを取材。再開発で閉鎖されたドン横、居場所を失った彼らの今をお届けする。
撮影・取材・文/河合桃子
集英社オンライン編集部ニュース班