作業用BGVに最適?なクセつよ邦画
――『邦キチ! 映子さん』を描き始めたきっかけについて教えてください。
仕事中、テレビで映画を流しつつ作業をしていたのですが、面白い作品だと画面に見入ってしまい筆が進まないんです。なので仕事場で漫画執筆の片手間に見る映画は、心が動かされるような名作・大作ではなく、かといって駄作でもない、適度に肩の力を抜いて楽しめる日本語作品である必要がある。この条件に沿った映画を見続けているうち、次第に“マイナーなクセつよ邦画”の知識が増えていってしまいました。
「そんなものに詳しくなってどうするんだ」という意見はごもっともなんですが(笑)、連載を始めた2017年当時、映画レビュー漫画はすでに先行作品がいくつもあったんです。けれど「邦画限定のレビュー漫画はまだないな」と思い、描き始めたのが連載のきっかけですね。
――記念すべき連載第1回が実写版『魔女の宅急便』(2014)でした。『邦キチ!』で同作を知った読者も多いと思います。
誰もが知っている作品を取り上げてもレビュー漫画としての意味がないし、かといって本当に誰も知らない作品だと興味をそそられませんよね。その点「アニメ版は国民的知名度を誇る一方、実写版はほとんど話題になっていない」という『魔女宅』は第1回として理想的でした。「国民的アニメの実写化なのに、なぜここまで見られていないのか」という謎をはらんでいるのも面白いですよね。そういった意味で、今年秋公開予定の『耳をすませば』(実写版)も、もしかしたら将来“第二の魔女宅”となるかもしれませんね。