『平成少年ダン』は、もともと『団地のダン』だった(サンカクヘッド)
——ここまでコンテンツを軸に平成を振り返ってきましたが、そんな平成という時代を、サンカクヘッド先生はどうして今、漫画で描こうと思ったのでしょうか。
サンカクヘッド 最初は平成というよりも、団地の漫画を描きたくて。タイトルも「団地のダン」にしようと考えていたんです。未だに大熊さんと原稿をやりとりする共有フォルダの名前は「団地のダン」になってるんですけど(笑)。
大熊 「団地のダン」だとストレートすぎるので、もう一つくらい別の要素を掛け算した方がいいんじゃないかとご提案したんですよ。それで話しているうちに、サンカクさんがずっと描きたいと思っていたテーマが「懐かしさ」だとわかって。
サンカクヘッド 「懐かしさ」と「団地」を両方描くにはどうしたらいいかを考えるなかで、『平成少年ダン』のコンセプトが固まっていった感じです。
——つまり、サンカクヘッド先生にとって「平成」はそのまま「懐かしさ」の象徴なんですね。
サンカクヘッド そうですね。僕が30代になったからか、子ども時代を過ごした平成がやっぱり懐かしくて。それに僕だけじゃなくて、最近、平成を懐かしむことが、ちょっとしたブームになっていませんか。
眉月 それもインターネットの存在が大きいのかな。インターネットが普及する前と後で、あまりにも世界が変わってしまったじゃないですか。みんなの想像力だって、良くも悪くも変質したはずです。だからこそ、私たちは、インターネットが普及する以前の平成という時代を振り返りたくなっている。お話しているうちに、そんな風に思えてきました。