上級生のカップラーメン
久保体制下で退校した山本さんは、実際に「ガイジと呼ばれていた」という。この「ガイジ」という言葉を問う編集部の質問に対して、防大が出した回答はなんとも曖昧だった。
〈インターネットを中心に、若者の間でそのような差別的な言葉が使用されることがあると承知しております〉
学内で使われているかどうか、実態を把握しているかどうかの質問にはまともに答えず、あくまで仮定として〈そのような言葉が使用された場合には、きちんと教育しております〉と主張している。〈きちんと教育しております〉というが、具体的に何をどう教育しているのかは不明である。
「ガイジという言葉は、本当に“普通”に使われているので、(学校が)把握していないわけはないと思います。そう呼ばれるのは、自分も含めてあまり気が利かなかったり、おとなしい学生が多かった。たとえば、3学年がカップラーメンにお湯を入れ、3分経つのを待っている。そのときに、サッと割りばしを持っていかない、とか」
等松教授のインタビューや論考に対して、WEB上で「文官教官は、軍人を養成するということが分かっていない」と嘲笑していた方々は、カップラーメンの茹で上がりを待つ間に割りばしを持っていくことが、軍人の基礎だと言うのだろうか。
後編へつづく
【1】7月21日の記者会見で「不断の改善を図っていくことが重要だ」と発言。
【2】編集部による一連の取材に携わった関係者の多くは、この文書を「久保学校長自身が著した」とは見做しておらず、久保学校長がその立場上、承認せざるを得なかった「内局の作文」だと考えている。
【3】編集部は当該の退校者に面会し、身分確認をおこなった。匿名での情報提供が条件とされたため、個人特定につながる情報を一部変更した。
【4】集英社オンライン【防衛大現役教授が実名告発】自殺未遂、脱走、不審火、新入生をカモにした賭博事件…改革急務の危機に瀕する防衛大学校の歪んだ教育
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