防大学校長による異例の反論

取材に応じた石破茂・元防衛大臣は「等松論考を一過性だと過小評価してはならない」とした上で、憲法改正の必要性を口にした。

〈日本国憲法9条2項は「陸空海軍その他の戦力は、これを保持しない」と定めており、そのため、自衛隊はここでいう「戦力」にはあたらない、すなわち「軍隊」ではない、という解釈をずっと続けてきました。
では何なのかと言えば、それは「自衛のために必要最小限の実力組織」である、としているのです。私がここまで「国際法上は『軍隊』にあたる」と言ってきたのは、裏を返せば国内法上は「軍隊」とは認めていないからです。我が国の独立と主権を守るための組織をこんな不明瞭な法的地位に置いたままにするまやかしは、もうやめるべきです〉(石破氏)記事リンク

あまりに大きな社会的反響に驚いたのか、7月14日には、防衛大学校が久保文明学校長の名前で『本校教官の意見発表に対する防衛大学校長所感』を公表するに至った。この文書の基本的な姿勢は、等松論考への“反論”である【2】

防衛大学校のホームページに所感を掲載した久保文明学校長 写真:Stanislav Kogikuアフロ
防衛大学校のホームページに所感を掲載した久保文明学校長 写真:Stanislav Kogikuアフロ

〈等松教授のご議論は、すでに実施されている多数の新しい試みに目を塞ぎ、古い事例でもって本校の現在を一方的・一面的に規定しようとしている点で、大筋で的外れでないかと感ずる次第です〉防衛大学校長所感(防衛大学校ホームページ掲載)より

また〈具体的あるいは建設的な提言がない点も残念です〉(同前)とも書かれているが、はたして、これらの指摘は的を射ているのだろうか。

集英社オンライン編集部は、等松教授がもっとも厳しく批判した國分良成・前学校長(2012~2021)期、そして久保文明・学校長(2021~現在)期に、防大を退校した3人の元学生に話を聞く機会を得た【3】。等松論考で語られている通り、防大を退校した3人は、いずれも関東、関西の名門大学に入学していた。