●敵のワンダって、以前は仲間だったの?

『MoM』でストレンジと対峙するのはワンダ。でも最初は仲間のように描かれていたのに…? そうなのです。スカーレット・ウィッチ(紅い魔女の意)ことワンダ(エリザベス・オルセン)は、もとは<アベンジャーズ>の一員。強力な超能力を持ちながら天涯孤独な彼女は、<アベンジャーズ>に加わって、人工知能体…まあアンドロイドみたいなもの…のヴィジョンと恋におちたものの、地球を救うために彼を殺さざるをえなかったという悲劇を背負っている。

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めちゃめちゃ強い悪役として描かれるが、実は悲劇の人ワンダ
© Marvel Studios 2022

『MoM』の前日譚に当たるのが、「Disney +」配信の『ワンダヴィジョン』。死んだはずのヴィジョンと50年代TVコメディ風の世界で幸せに暮らしているワンダのエピソードで始まるこのドラマがたいへんな傑作で、これを見るといろいろわかるので、ぜひ…と言いたいけれど、まあ、ざっくりまとめると、この中で彼女は、ヴィジョンとともに、授かった双子を失ってしまうのだ。マルチバースのどこかに生きている息子たちと再会するため、一線を踏み越えて、『MoM』ではヴィラン(悪者)になってしまったというわけ。

『ワンダヴィジョン』はロンドンで製作されており、エリザベス・オルセンはその撮影が完了した2日後に『MoM』のセットに入ったのだとか。悲しみの演技が胸に迫るのにも納得。
私自身も『MoM』のために集中して『ワンダヴィジョン』を見たので、ワンダが鬼となっていた自分に気づかされるシーンには、本当にぐっときた。愛するものすべてを失ってしまった悲劇の人として見れば、ワンダへの共感が生まれると思う。

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