●タイトルにも入ってるけど、そもそもマルチバースってナニ!?
マルチバース(Multiverse)とは、さまざまな時点で枝分かれして別次元に展開している無数の宇宙のこと…といってもますますわかりづらいだろう。昔のSFで「平行世界」「多元宇宙」とか呼ばれていたもので、平たくいえば…よく似ているけど(まるで違うものもあるが)細部が違う世界が無限に連なっているというイメージ。
通常、別々に存在しているが、MCUでは『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019)で、正体がバレてしまったスパイダーマンのためにドクター・ストレンジが使った禁断の魔法によってマルチバースのへだてが不安定になってしまっており、“狂気のマルチバース”という副題の本作につながっていく。(MCU外だが『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018)という、マルチバースがテーマのアニメ映画があって、大傑作なのだが…それはまあ、別の機会に)。
マルチバースを好きなように行き来できれば、都合のいいとこどりをした夢のような人生が送れるはず…ということで『MoM』では、それができる少女アメリカ(ソーチー・チャベス)の能力が敵に狙われることになるのだ。
各世界の凝った描写も楽しいが、特にアベンジャーズにかわって<イルミナティ>というスーパーヒーローグループがいる世界は丁寧に描かれる。ここには『X-MEN』『ファンタスティック・フォー』という、映画では別シリーズとなっているコミックのキャラたちがついに登場して…まあ、ファンならニヤリなのだ。