若い男に1000万円のお金をかけるも…

――本当にママ一筋。

そう。パパは家庭をすごく大事にするけれど、独占欲が強かった。
土日に買い物するのもいつも一緒で近所では有名。『僕たち鳥のつがいですから』なんて言ったら『金魚のフンだろ』ってお店の人から言われたりしてましたよ。

朝は誰より早く起きてパパのためにすぐに化粧して、チューしてパパが出かけて行ったら、いつ帰ってきてもいいように待ってる。さだまさしの『関白宣言』そのまんまよ。でも、男の人ってこういうもんだと思って生きてきちゃったからね。

――令和の夫婦では考えられなそうですね。

それを35年間やられてごらんなさい。自由な時間が全然なくて遊びに行くことすらできない。
私はどちらかというと、外に出るのが好きなタイプだから、59歳でパパが亡くなった途端に「は〜~~」って解放的になっちゃって。スナック遊びをするようになったの。

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――辛くはなかったんですか?

亡くなるまで入院していた1年2ヶ月の間、私も一緒に入院してずっと付き添って世話してきたの。看護婦さんは点滴したり、薬を取り換えに来るだけだから四六時中一緒にいたし、ベッドは別だけど一緒に寝てましたね。だから亡くなったときも、やり切った感があったわね。

――死別後はどのような生活を?

パパが残してくれた家とお金があるから、2年間毎日カラオケして飲み歩いたわね。
そのときに中央大学の馬術部だっていうイケメンと知り合って一緒に飲むようになったの。
彼はホストもやっていたから「そんなのロクなもんじゃないから辞めなさい」って言ったわけ。でも、服とか指輪とか全部リースしてたから辞めるのに190万円必要だっていうのよ。だから私が払ってやったわよ。

カラオケを熱唱する小笠原さん
カラオケを熱唱する小笠原さん

――太っ腹!

190万円だけじゃないわよ。彼を一人前にしてやろうと思って、留年した大学の学費も、競馬学校の調教師コースの費用も払ってやったわ。私のお金で旅行も行ったし、14年くらい付き合って全部で1000万円くらい使いましたよ。ツバメ(年上女性の愛人になっている若い男)状態ね。体の関係はなかったんだけどね。

――すごい……。

それなのに私が70歳くらいのときに「結婚するよ」って突然、携帯メールがきた。あれだけ世話してやったのに、誠意もない一方的な報告だから裁判してやろうかと思ったけど、ちゃんとした職業に就いているし、かわいそうだからやめました。
でもお歳暮のひとつくらい送りなさいよって話ね。

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                    ※

後編では、いよいよ最高齢セクシー女優誕生秘話が語られる。

取材・文/中山美里 撮影/Soichiro Koriyama
集英社オンライン編集部ニュース班