胃がん検診
日本人の胃がんの死亡数はがんの中で3位、罹患数も3位です。身近ながんなのでしっかり対策をしましょう。まず、胃がん検診には胃がん自体を「予防」するための検査と「早期発見」するための検診に分かれます。
予防のためのピロリ菌検査
最初に、胃がんを予防するための検査についてですが、こちらが「ピロリ菌検査」です。ピロリ菌というのは顕微鏡で見るとまるでミドリムシのような形をしている細菌で、「胃酸を中和する」という特殊能力を持っており、胃の中でのうのうと生き続けることができるのです。
胃の中で住んでいるだけならまだ良いのですが、病原性をもつタンパク質を胃の内側の壁に注入するというなんとも恩知らずな細菌で、このピロリ菌が胃がんの原因の9割方を占めるとされています。
そして良い情報としては、このピロリ菌は現代の若者においては感染者が格段に減っているということです。ピロリ菌は昔の井戸水や、衛生環境の悪い水などから感染するもので、現代の衛生環境はかなり改善されているので、必然的に感染者も減っているのです。
しかし、今の中高年にとっては話が別で、知らないうちにピロリ菌を体内に取り込んでいて、気づかないうちに胃を荒らされている恐れがあります。なかなかピロリ菌の有無を確認する検査があるという事実を知らずに年月が経過してしまう場合もあり、ピロリ菌については本来早めに知っておいてほしいところです。
検査方法としては、血液検査でピロリ菌に対する抗体を調べたり、尿検査を行ったりすることでわかります。治療はピロリ菌を退治する抗生物質を使用します。
実はピロリ菌除菌の有効性についてはまだ論文としては決着がついていない(既に胃を荒らされてしまったなら、除菌しても意味がないのではないかという意見もある)のですが、個人的には自分だったら胃がんのリスクを上げると確実にわかっている細菌が体の中にいたら、除菌しておきたいなあ……と思うところであります。
あなたはいかがでしょうか? 早期発見のためのバリウム検査と胃カメラ検査次に、胃がんを早期に発見するためのお話です。ピロリ菌を除菌したから、あるいはピロリ菌に感染していなかったから胃がんには絶対ならない、というわけではないので、胃がん検診は2段構えで受けておきましょう。