フィリピンの親族から金をせびられまくるフィリピンパブ嬢
「頭痛いわ、ほんとに。お金ばかり」
相変わらずのフィリピンからの送金の要請に、ミカはしばしば頭を抱える。「食べ物がなくなった」「電気代が払えない」「歯が痛いから歯医者に行きたい」、困ったことがあれば、全てミカに連絡が来る。ミカも何とかして送金をするが、どうしても無理な場合は「今はお金ないから送れないよ」と言うと、
「じゃあ、誰が家族の面倒を見るの⁉ 家族大事じゃないの⁉ 見捨てるの⁉」と、責められる。ミカはため息をつき「何とかするから待ってて」とだけ言う。
フィリピンパブで働いていた時、収入が少ない月は客からプレゼントしてもらった金のブレスレットを質屋に入れ、送金したこともあった。
そうした苦労を間近で見てきたからこそ、「ひどいな、今までミカが頑張ってお金送ってたのに。何にも苦労知らないんだな」と声をかけた。
「昔の方が楽しかったな。お金なかったけどみんな仲良かった。今は皆お金が欲しいだけ。なんか寂しい」少なくとも昔は、皆がミカに金の無心をすることはなかっただろう。だが今は「久しぶり、元気にしてる?」の次の言葉は「お金を送ってほしい」だ。
「家族が大事じゃないの?」と言うフィリピンの家族は、日本にいるミカを大事にしているといえるのだろうか。ミカは、「送金をするな」という僕からのプレッシャーと、「送金しろ」というフィリピン家族からのプレッシャーの狭間で、悩み続けている。
そして送金をめぐる最大の喧嘩は、夫婦間におさまらないものとなった。