いい加減、断ってくれよ、フィリピンへの送金で夫婦喧嘩に

当然、我が家の夫婦喧嘩の原因の多くは、フィリピンへの送金についてだ。僅かばかりの貯金ができても、フィリピンの家族からの要請で送らなければいけない時もある。

「いい加減、断ってくれよ。日本での生活もあるんだよ」
「私も頑張ってるじゃん。ずっと自分の欲しいもの買ってないよ。全部ご飯と子供のため、私の分は何もいらない。だから少しはフィリピンに送ってあげてよ」
「こんなんじゃいつまでたってもお金なんて貯まらない! 子供が大きくなってからもっとお金かかる!」
「わかってる! 今だけだから! フィリピンにお金送るのも!」
「今すぐ止めて!」

と、大喧嘩になる。

「わかってる! 今だけだから! フィリピンにお金送るのも!」毎月20万以上を祖国に送金するフィリピンパブ嬢と結婚して痛感する「出稼ぎに頼る国家体質」_4

フィリピンへの送金は、出稼ぎで来日したフィリピン女性と結婚すると、必ず直面する大きな問題だ。「フィリピンの家族を支えられる範囲で送る」という人もいれば、「フィリピンには送らせない」や「フィリピンに送る分は奥さんが稼いだ中から送る」など、いろいろな意見を聞く。どれが正しくてどれが間違っていると言いづらいのは、その家庭のことだからだ。

我が家の場合、フィリピンへの送金をどこまで許すか、明確な数字やルールを決めることもできず、いまだに夫婦で意見が分かれている。結局、ミカに金を渡してしまったものの、僕が腹を立てて1人で部屋に籠ったり、しばらく互いに口を利かなくなることもある。

それでも、送金に一番悩んでいるのはミカだということも、近くで見ていてわかる。普段から自分の欲しいものは我慢し、服もカバンも何年も同じものを使っている。少しでも安い、半額になっている商品を買ったり、毎月の食費を計算しながら買い物をしている。ミカは普段は家計を気遣いながら、慎ましい生活をしている。