能力、技術以上に優れた「意識」
佐々木投手の1年目は、力を入れれば球速は出るけれど、常時スピード感やバランスを保てるという感じではなく、まだ安定していない印象でした。それがこの2年間で本人も色々な知識や考えを吸収して、力の加減やバランスなどを身に付けたのでしょう。
個人的に印象深いのは、食事やトレーニングなど、プレー以外の面でも非常に高い意識を持っていたこと。サプリメントやトレーニングの話をしたことがあるのですが、自分が20歳の時と比べたら雲泥の差で、振り返ると恥ずかしくなるくらいでした。
以前、彼から「トレーニングで筋肉を大きくするという話をよく聞くのですが、鳥谷さんは、どう考えていますか?」という質問を受けたことがあります。
「トレーニングを継続することで、結果的に筋肉が大きくなるのはいいと思う。ただ、筋肉を大きくすることを目的に体を作ると、大きくなったことで満足感を得てしまうし、自分の思うような動きができる体ではないと意味がないのではないか」
と話すと、初めて聞いたという様子ではなく、「ああ、やっぱりそうですか」という感じでした。他のことに関しても、「自分はこう考えているのですが、どう思いますか?」といった聞き方をしてきたのが印象に残っています。
今はこれだけ情報がある世の中なので、どの情報を選ぶのかが重要になります。佐々木投手は、人に何か言われたとしても、自分でかみ砕いて納得しないとやらないというぐらいの強い信念を持っていました。
あの年齢で、そういう考え方ができるというのは、ある意味、身体能力のポテンシャルや投球技術よりも、すごいことだと思います。
おそらく本人はプロに入った時から、将来的にはメジャーリーグで活躍することを考えて生活しているように思います。そうなったらきっとダルビッシュ有選手や、大谷翔平選手のような活躍をしてくれるはずです。