A氏の逮捕歴を会社は知らない

“性的画像”ではあっても“わいせつ物”ではない以上、「摘発のハードルが高かった」と前出の社会部記者は言う。今後、この盗撮問題においては今年6月16日に成立した新たな法律「撮影罪」によって処罰される。

グラディアトル法律事務所の清水祐太郎弁護士はいう。

「これまで盗撮を取り締まる法令は、迷惑行為防止条例と軽犯罪法と児童ポルノ禁止法の3つでした。この夏にも施行予定の『撮影罪』は、盗撮や性的行為を密かに撮影する行為などを法律で統一的に取り締まります。強制性交罪や強制わいせつ罪などの成立要件も拡大されます。また、捜査の過程で押収した端末などに保存されている性的な画像を消去できることになります。ただしこの法にも抜け穴があります。隠しカメラや透視機能がついた赤外線カメラでの撮影は『撮影罪』の対象ですが、競技中のユニホーム姿などの撮影行為は規制対象に盛り込まれていません。今後さらに検討が必要だと思います」

左から頭や肩に装着するタイプのカメラ、小型カメラ、一眼レフ。今これらで盗撮することはもうないと言うが…(撮影/集英社オンライン)
左から頭や肩に装着するタイプのカメラ、小型カメラ、一眼レフ。今これらで盗撮することはもうないと言うが…(撮影/集英社オンライン)
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盗撮はとても身近で卑劣な犯罪である。今回、取材に応じたA氏は一般企業の会社員で、罰金30万円を支払ったものの、罪状は勿論、逮捕されたことも会社に知らされることはなく、社会的な立場が抹殺されるほどの窮地には至っていない。教職員などの場合は即、職場に知らされることになるのに、対応に差異があるのには解せない部分もある。

アスリートのなかにはこうした盗撮者の存在への不安から、本来の動きに躊躇が生まれ、パフォーマンスが低下する事態に陥ってしまう選手もいるだろう。アスリートが性的な目線に晒されることなく、競技の新記録更新だけをひたむきに目指せる世の中が来ることを願うばかりだ。

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取材・文/ 河合桃子 
集英社オンライン編集部ニュース班