薬物売買が行われると噂のクラブに潜入
1階フロントで2000円の入場料を支払う。ダンスフロアに続く階段に掲示された張り紙のすべてはベトナム語だ。
フロアで盛り上がる客の9割が若いベトナム人。隣の席に座った30代の日本人男性客も「ナンパ目的で来たけど、ここはベトナム人同士で楽しむクラブだったんですね」と苦笑い。
この日は常連客の誕生日イベントのようで、「Happy Birthday」という看板を掲げたボーイが登場すると、フロアは大熱狂。VIP席に座っていたベトナム人グループが立ち上がり、シャンパンを一気に飲み干すなど、お祭り騒ぎだ。
酔っぱらった勢いで握手を求めてきたベトナム人男性に話を聞いてみると、普段は大久保のベトナムレストランで働いているが、たまにこのクラブへ気晴らしに来るらしい。
ここで、前述とは別の日本人男性がそのベトナム人男性に「ドラッグは買えるか?」と尋ねた。彼は不敵な笑みを浮かべつつ、ソファでうなだれるひとりのベトナム人男性を指さす。
その日本人は案内された男性のほうに行って同じように尋ねたようだが、どうやら取引を拒否されてしまったらしい。
近隣で飲食店を営む40代の男性は、この光景について解説する。
「湯島エリアは台東区と文京区の境目で所轄も上野警察署と本富士警察署に分かれているから、繁華街にしてはパトロールが少なかった。
でも、去年5月の事件で警察も“ベトナムクラブの摘発”に本腰を入れ始めたようで、ピンポイントで見回りするようになったんです。だから、不良ベトナム人側も違法ドラッグを売るのにかなり慎重になってるんですよ」
クラブの前でベトナム人が職務質問される光景は、もはや夜の湯島の”日常”になったという。この飲食店経営の男性も、いわゆる”キマった状態”のベトナム人にからまれた経験があるそうで……。
「営業が終わった朝方にゴミ出しに行ったら、コンビニ前でたむろしていたクラブ帰りと思しきベトナム人のひとりに『おい、なに見てんだよ!』とからまれました。その男性は明らかに挙動がおかしくて……。
そのときは止めに入ってくれる男性がいたから助かりましたけど、正直ここらで商売する身としては怖いですよね」
しかし、湯島にはびこるのは不良ベトナム人だけではない。後編ではぼったくりが横行する中国人客引きの実態に迫る。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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