解熱鎮痛剤や胃薬の飲みすぎは薬剤性腎障害に

このように薬によって、腎臓にダメージを与えてしまうことを、医学用語で「薬剤性腎障害」といいます。
薬剤性腎障害にはいくつかパターンがあります。

一つは薬の影響で腎臓の血管がしめられてしまい、腎臓に血液が巡らなくなり、腎臓の機能が落ちていってしまうパターン。

さらには、薬の作用で尿細管というおしっこの通り道が詰まってしまうパターン。こうなるとやはり腎臓の機能はだんだん落ちてきてしまいます。

他にも薬のアレルギー反応によって、腎臓の機能が低下する場合があります。
薬が体内に入ったことで、体の免疫機能がどんどん攻撃を与えてしまい、その際、腎臓にもダメージを与えてしまうからです。
このようなアレルギー反応による腎臓の炎症が起こった場合は、皮膚にじんましんが出ることがあります。

では、具体的にどんな薬が腎臓にダメージを与えてしまうのでしょうか?

実はけっこう身近に使っている5種類の薬が腎臓にダメージを与えています。

中でも、私たちに身近な存在なのが解熱剤と鎮痛剤です。
あえてわかりやすいように2つに分けて紹介しましたが、これらは熱冷まし、痛み止めの2つの効能を含んだものが多く、解熱鎮痛剤と呼ばれてドラッグストアでもよく見かけると思います。
その中でも非ステロイド性抗炎症薬、通称NSAIDs(エヌセーズ)と呼ばれる薬が腎臓の機能を低下させてしまうことがあります。

NSAIDsの中で身近にあり、処方されることが多いのがロキソニンです。
腰痛がつらくて、ロキソニンを飲みすぎたり、頭痛がおさまらず、毎日6錠以上、ロキソニンを飲み続けたり、などしてしまうと急性腎不全や腎臓のクレアチニンの数値が上がって緊急入院ということも。

解熱鎮痛剤は、痛みや体温の上昇の元の原因になる炎症で発生したプロスタグランジンが生まれる一歩手前に滑り込んで、この成分の生産にストップをかけます。

実はプロスタグランジンは血管を拡張する役目があります。そのためロキソニンなどの薬を飲み過ぎると血管が収縮し、腎臓に十分な血液が流れなくなることがあるため、腎臓の機能を低下させてしまうのです。

痛みなどでロキソニンを服用する場合は、用法や用量を守り、痛みがひかないときは、薬の服用以外の治療を医師に相談しましょう。

腎臓の機能を低下する薬の3つ目は胃薬です。
胃薬は前述したNSAIDsと一緒に処方されることが多いですよね。
というのもNSAIDsには腎臓だけでなく、胃もあらしてしまう副作用があります。
この副作用を打ち消すために、長い期間、NSAIDsを内服するときは、一緒に胃薬が処方されることが多いからです。
ただ、京都大学の21万人を対象としたデータでは、胃薬だけでも腎不全のリスクが上がり、NSAIDsと併用すると、さらにリスクを上げてしまうという結果が出ています。

腎臓にダメージを与える胃薬はプロトンポンプ阻害薬といい、通称PPIと呼ばれています。
ネキシウムやタケキャブというとわかりやすいでしょう。
だからといって、併用して飲んではいけないということではありません。
腎臓の数値に問題がなければ、用法や用量を守って飲み、数値が高い人は医師に相談するようにしましょう。

解熱鎮痛剤、胃薬、抗生物質…身近にある薬が実は危険かも? 腎臓に悪い薬5選_2